『バカテス』『ココロコ』『犬ハサ』…人気ライトノベルに続く新作はヒロインの “方言萌え”に身悶える!

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更新日:2015/2/9

<優秀賞>『黒崎麻由の瞳に映る美しい世界』 著:久遠 侑 イラスト:はねこと

●2人の”黒”が出会う時、物語は始まる

(あらすじ)黒井光輝には高校入学時から気になっている女子がいる。その少女・黒崎麻由は、美人でありながらいつも無表情で、誰もが近寄りがたい異様なたたずまいによって周囲から一目置かれる不思議な存在だった。そんな彼女と文化祭の準備をきっかけに少しずつ親しくなり、黒崎もクラスメイトと徐々に打ち解けていく。一方、学校周辺では不審者や奇妙な幽霊の目撃情報が流れ始め、黒井は同級生たちと真相を確かめようとするが━━━。ミステリアスな美少女の抱える孤独の闇を描き出すドラマティック青春ストーリー。

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▲黒崎麻由は幻想的なまでに美しく、それ故に孤独である

●どこまでも鮮烈な”黒”に魂を奪われる

(読みどころはココ!)黒崎麻由という少女の特異なキャラクターに魅せられる。最初は近寄りがたく、人間味の薄い不気味な存在にも感じられるのだが、主人公の黒井と親しくなっていくうちに、無機質な表情の向こうに年頃の女の子らしい素顔が垣間見えてドキッとさせる瞬間が繰り返し不意打ちでやってきて、何度となく読者の心をかき乱すのだ。

同級生の女子と放課後にファーストフード店に寄ったり、試験明けの打ち上げで一緒に買い物に行ったりと高校生の甘酸っぱい男女交際の様子にときめくが、そうして彼女に興味を抱いて読み進めていくうちに、気がつけば底なし沼のように深くて暗い彼女の魅力にどっぷりと引きこまれているのだ。背筋が凍りそうな恐ろしさの中に人の温もりを感じられる純粋で美しい作品である。

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