Facebookに料理の写真なんて欧州では考えられない【サンドラ・ヘフェリンさんインタビュー前編】

社会

更新日:2015/3/4

――いろいろと違いがあるんですね。この2冊の中で日本人の1番ステキなエピソードと1番ヘンなエピソードがあれば教えて下さい。

 日本人がいいなと思うのは、死んだ人に対してすごく優しいところですね。死んだ人のことをなかなか忘れないじゃないですか? 法事も、三回忌、七回忌、十三回忌…と続きます。家族や親族だけでなく、テレビでも俳優さんが亡くなって何回忌でしたって放送されています。

 日本人は、基本、死んだ人を忘れない。ヨーロッパは、お葬式をして泣きますが、結構すぐ忘れちゃう。法事の習慣もないです。バースデーは祝うんですけどね。

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 ヘンなところは、体育会系のノリです。仕事でも学校でも通じるところがあって、個人の問題をすごく過小評価する。ちょっと熱が出たら、「気合が足りない!」と言われたり、子どもが生まれて仕事との両立ができないと言ったら、「50年前はみんな洗濯機もなく頑張ってたんだ!」と言う人がいます。

 部活でも、喉が乾いたなら水を飲めばいいのに「若いから我慢できる!」と言って、熱中症が起きたり、寒い中の朝練でも「薄着で頑張りましょう!」と言ったりすることがあります。そこは、あまり好きじゃないですね。そういうところは、日本を観光しただけじゃわからない。京都のお寺を見ただけだと、お寺綺麗ですね、畳綺麗ですね、お花綺麗ですねって言えるんです。でも体育会系のノリは暮らしたり働いたりしてみないと分からない。これにはヨーロッパの人もびっくりです。

――気合いが足りない、辛坊強くないなど、日本のゆとり世代と言われる人たちは非体育会系です。もしかして欧州的な感じなのでしょうか?

 ゆとり世代大好きですね。ゆとり世代の話を聞いていると、ドイツを含めヨーロッパの人は、みんなゆとり世代なんだなって思います。

 日本人の50代、60代の人が、「最近のゆとりは困る」って話になって、どういう風に困っているのか尋ねると「あと有休何日あるんですか?と問いあわせたりする」のが困ると言うんです。でもこれは、ヨーロッパだと当たり前の感覚です。みんな有休の日数を気にしながら、次の休暇の予定を立てたりしています。

「一回、会社を出ると、会社なんて関係ないと言わんばかりにずっと携帯の電源を切っているのがけしからん」というのも聞きますが、それもヨーロッパだと当たり前ですね。社長じゃないんだから、社員がずっと電話に出なきゃいけないっていうのはヨーロッパではあまり見られない考え方ですね。そう考えると、ヨーロッパの人はみんなゆとり世代ですよね(笑)。

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