照ノ富士は横綱になれるのか!? やくみつる×デーモン閣下『勝手に大相撲審議会』

スポーツ

更新日:2015/3/20

――今場所は白鵬以外には誰に注目していますか?

【閣下】 それは照ノ富士でしょう。親方の指導が厳しかったんだろうね。照ノ富士は親方がいないとすぐ稽古をサボるらしいのね。今場所はべったり付いていたみたいだから。

【やく】 自分の型にならなくても動いて取れる人なので。強いなと思いますね。

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【閣下】 もともとディフェンス力はあるから、攻撃に磨きをかけてほしい。でも性格的にちゃらんぽらんさが見えるんだよなあ。ああいうタイプの人は横綱になれないでしょう。勝負が終わって花道を引き上げてくる間にニヤーっと笑いがとまらない。

【やく】 口角があがってしまうんだろうなあ。

【閣下】 それに比べて逸ノ城。今場所は今までの逸ノ城スマイルはないよ。ずっと厳しい顔をしている。横綱に勝った日も最後まで笑わなかったよ。

【やく】 ストイックに相撲を追及し始めたね。

【閣下】 なんか変わったね。新入幕のときは大関、横綱に勝ってニヤーっと笑っていたけど、先場所負け越したりとか、ケガもしたりして、このままじゃダメなんだと自分を見つめなおしてる時期なので、ああいう表情になるよね。

【やく】 右四つになれなくても勝てるようになってきているし、相撲の内容も良くなっている。

【閣下】 そして照ノ富士が強くなったのは明らかに逸ノ城効果ですよ。同じ鳥取城北高校で、同じ飛行機でモンゴルから来た。で、照ノ富士の方が先輩なの。だけど後輩の逸ノ城があっという間に関脇まで上がったから、悔しかったんでしょうね。その後すごく相撲が良くなりましたね。

【やく】 遠藤は少し遅れをとったね。もう「逸照(いってる)時代」だよ。

【閣下】「逸照時代」ね。でも、吾輩は現十両の輝(かがやき)を押すね。

【やく】 輝も確実にきますね。

  • 勝手に大相撲審議会

――今回刊行された『勝手に大相撲審議会』はどんな人に読んでもらいたいですか?

【閣下】 これは、相撲を知らない初心者も楽しめるが、そう生易しいことだけが語られているわけではないので、相撲通も必ず唸ると思うんだよ。

【やく】 モヤモヤしてる人が多いと思うんですね。なかなか意見を言えずにね。そういったところを肩代わりしている部分もある。そんなモヤモヤしている古くからの相撲ファンにも読んでほしい。よくぞ言ってくれた!というところがあると思う。

【閣下】 本の帯ではあまりうたっていないけれど、実は苦言もいっぱい書いてある。でも、案外相撲協会のひとは耳を傾けてくれないよね。

【やく】 そうだよね。若い親方衆の中には変えていこうと思っている人はたくさんいるんだけどね。なかなか上に届かないんだよね。

【閣下】 ぜひ相撲協会や親方衆にも読んでほしいよね。

――お二方がこうやってファンの人に語りかけ、民意で変えていかないといけないですね。

【閣下】 まあ、昔からそういうものですけどね、相撲って。

【やく】 取り組みが一門別総当りから部屋別になったのも、そうだね。

【閣下】 世紀の大横綱が理事長になったとき、大きな改革が起こることが多いよね。

  • 勝手に大相撲審議会

    雲龍型土俵入りを披露するご両名

――この本の続編が出るとしたら何を語りたいですか?

【閣下】 今回、現状の分析や過去を振り返る作業は存分にやったけれど、「こうしたらいいんじゃない?」という提言はまだ言い足りないので、「吾輩が理事長だったらこうする!」というテーマでぜひやりたい。まだまだ語り尽くしてないからね。

【やく】 当初、テーマのひとつに「改革」を掲げていたけれど、現状の大相撲について語り合うだけでも十分面白くなったね。

【閣下】 そういえば、こんなに四股名に物言いをつけた本もないんじゃない?

【やく】 四股名の話だけで1章使ってるからね。(笑)

 

勝手に大相撲審議会

■『勝手に大相撲審議会
著:やくみつる、デーモン閣下
発行:中央公論新社
定価:1,600円(税別)
発売日:2015年3月10日