「ねこあつめ」ヒットの理由―どうして人はモノを集めたくなるの?

社会

2015/5/14

 庭に猫が喜びそうなゴハンや遊び道具を設置して遊びにきた猫を眺めるというだけのキャラクター収集スマホゲーム「ねこあつめ」が今、大きな人気を集めている。昨年10月に配信がスタートして以来、ダウンロード数は既に200万ダウンロード超。昨今、ブームとなったスマホゲームといえば、「おさわり探偵 なめこ栽培キット」にしろ、「パズル&ドラゴンズ」にしろ、キーとなっているのは、コレクション性である。なぜ人はこんなにも何かを集めるということに情熱を注いでしまうのか。そして、「ねこあつめ」の魅力はどこにあるのか。

 瀬川正仁著『集める人びと 蒐集の小宇宙』(バジリコ )は、様々なコレクターの動機、そして人生を追いかけ、コレクションとともに収録したルポルタージュ。この本の中に登場するコレクター達は、玩具やガラス瓶、凧などそれぞれ違うものを収集しているが、コレクター達がそのモノを集める理由を見ていくとそこには共通点があるような気がする。

 たとえば、昭和家電のコレクターである増田健一さん(51歳)は、家電の背後にある、昭和を生きた人々の息吹に魅せられている。増田さんによれば、昔は、少しでも消費者からの要望があれば、採算を度外視してでも家電を作ってみようという風土があったという。その結果誕生した間抜けともいえる昭和家電を増田さんは収集しているのである。パンを焼くトースター、目玉焼きをつくる小型のプレート、それにミルクを温めるホットポットが1つになっている「スナック3」(昭和39年、東芝製造)やダイヤルが2つ付いていて、机を挟んで両側から使える固定電話「ボースホーン」(昭和38年、岩崎通信製造、日当通信機販売)など、彼が蒐集する家電はどれもユニークであり、当時の人々の夢を映し出す鏡ともいえる。

 昆虫収集歴50年の櫻井孜さん(82歳)は、妻のかほるさんと一緒に昆虫採集に励んでいる。手に入れたいチョウがいたとすると、そのためにはそのチョウの生息地を調べることから始めなければならない。とはいっても、生息地に行けばいつでも、どこでも遭えるわけではない。チョウの好みそうな環境や幼虫の食草も知らなければ見つけるのは難しい。昆虫採集はこのように知的な遊びであり、このように調べ出すと、次々と興味が湧いてつきない。

このようにコレクターたちは、

・コレクション対象に個性がある
・自分なりの着眼点によって蒐集できる
・蒐集するまでに工夫が必要である
・蒐集したものを人と共有し合える環境がある

ことに魅せられて、モノを集めるに至るようだ。

 「ねこあつめ」はといえば、スマホの中の世界とはいえ、このようなコレクター心をくすぐるような仕組みがいくつもある。

 たとえば、「ねこあつめ」に登場する猫たちはそれぞれに個性があり、ゆるい見た目がなんとも可愛い。猫たちの仕草も、箱に入ったり、球を転がしたり、“あるある”と思ってしまう程、リアルで、猫好きならばすぐに心を掴まれてしまう。そして、その個性的な猫たちを遊びに来させるためには、エサやおもちゃが必要だ。何かしら工夫しなくてはレアな猫はなかなか表れない。どんな工夫が必要なのか試行錯誤したうえでレアな猫が来てくれば、それだけで満たされた心地がする。

 遊びに来た猫たちは自動的に「ねこ手帳」に記録されるだけでなく、遊んでいる様子をユーザー自らが撮影して「アルバム」にコレクションすることも出来る。ねこがたくさん集まったかどうかというだけではなく、可愛い仕草を撮影できたかどうかもユーザーにとっては楽しめるポイントである。自分なりに猫を撮影できる機能によって、多くのプレイヤーがTwitterやLINEなどで可愛らしい「ねこあつめ」のプレイ画面画像を投稿したことがその拡散につながったようだ。