世界から注目される日本人女性、職業は「武装解除」 その仕事の中身とは?

海外

更新日:2015/6/9

行動するパワーの源は「自分には選択する権利がある」という意識

 “どの組織に所属しているかは重要視せず、現場のあらゆる問題に対処できる力をつけたい。肩書きよりも現場の人々の抱える問題を解決したい”と、瀬谷は各国の武装解除に携わり続ける。その行動力の原点はどこにあるのだろうか。

 瀬谷は群馬県の一般家庭に生まれ、高校生のときに見た1枚の写真がきっかけで、今の道を歩むことになった。それは、ルワンダの難民キャンプにて、コレラで死にかけている母親とそれを泣きながら起こそうとしている3歳くらいの子供が写る写真だった。なぜ、この母親は成すすべもなく死なねばならないのか。残された子供の行く末はどうなるのだろうか。なぜ政治家は彼らを助けようとしないのだろうか。

 写真から見えた世界の仕組みは、1人の高校生には複雑すぎた。権力のあるものに翻弄されてしまうのは自分も同じだと、写真の中の2人に奇妙な親近感を抱く一方で、彼らとの決定的な違いにも気付いた。それは、“自分は選択肢を持っている”ということだった。

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 生まれてくる環境や健康状態など、人生には選べるものと選べないものがある。それでも、世界の中で比較すれば、日本に生まれた自分には人生の歩みを選択し、主体的に行動できる権利がある。そう気付き、傍観者や祈る人ではなく、平和をもたらすべく行動する者になろうと進路を決めたのが第一歩だった。瀬谷がルワンダ行きを希望していたのは、これが所以だ。

 “人生は一度きり、人生の岐路に立ったときには、大変でもより実力のつく選択肢を選ぶ”という彼女の歩みは、とても前向きだ。自分には行動が選べる。それが、たとえどんなに小さなことだったとしても、その行動が現状突破の糸口になるかもしれない。どんな人にとっても、壁にぶつかったとき、絶望したときの助けになりそうな考え方ではないだろうか。

文=奥みんす