『スローなブギにしてくれ』他 「片岡義男 全著作電子化計画」第1次100作品出揃う

文芸・カルチャー

2015/8/2

    片岡義男

 直木賞候補に加え、映画化もされた『スローなブギにしてくれ』などで知られる作家・片岡義男。同氏の作品は、分かる範囲で小説だけでも580作品を数えるという。そんな片岡の作品を電子書籍としてまとめる、「片岡義男 全著作電子化計画」が始動。2015年7月1日(水)よりデジタル出版が開始され、7月31日(金)、『吹いていく風のバラッド』『クロスロード』など第1次電子化計画の100作品が出揃った。

 片岡は旺盛な作家活動を続ける毎日であり、小説以外のエッセイ、評論を含めると作品数はさらに大きなものとなる。それらすべてを、今後何度かに分けてデジタル出版していく計画だ。出揃ったデジタル出版作品は、ボイジャー直販をはじめ、アマゾンなど多くの電子書店で手に入れることができる。

⇒「片岡義男 全著作電子化計画」公式サイト

 また片岡は、写真家としても知られており、同プロジェクトと併行し、自らが撮影した膨大な写真をアーカイブ化する作業も行われる。そして、撮られた写真を利用した新作執筆の計画も進行中。デジタル出版ならではの試みとして、アーカイブ上の写真にリンクし、小説を閲覧するという新たな読み方にトライしていく。

 2015年7月4日(土)、東京国際ブックフェアで行われた、片岡と評論家・佐々木敦の対談「スローなデジにしてくれ」では、全著作電子化計画について話すと共に、思いがけない作家の創作のプロセスを垣間見ることのできる、貴重な映像となっている。

片岡義男

片岡義男(かたおか よしお)
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。戦後の日本文学として、極めてめずらしい突然変異。日本語で書かれた小説として、英語との緊張関係を忍ばせた論理的な文法構造。男と女ではなく、彼と彼女の小説。オートバイや拳銃など、マシーンの言葉。北米大陸の自然、特に荒野の大気をいっぱいに孕んだ乾燥。日本の湿気がその作品に表れるのは、雨が降る時だけかもしれない。

片岡義男

■『スローなブギにしてくれ
著:片岡義男
価格:250円
フォーマット:Kindle版
発売日:2015年7月1日(水)
出版社:ボイジャー

オートバイで走ることだけにリアリティを感じている少年と高2で家出して以来、家に居つかなくなった少女。2人は不意に、夕暮れの第三京浜で出会う。次々に生まれてはもらわれていき、捨てられる猫のようによるべない時間の中を漂い、生活を積み上げることのできない2人。しかし、決裂と思われた瞬間を超えて、彼女は戻ってきた。これから、今までとちがう何かが始まるのだろうか。ゆっくりと、くりかえしながら、歌いながら。スローなブギのように。