その“きれいごと”は本当に結果につながりますか? 守りに入っているビジネスパーソンに必要なこと

仕事術

公開日:2015/8/24

日常や人生を充実させるためには“お金”へ意識を向けるのも大切

 世の中にはお金より大事なものがある。よく聞かれる言葉ではあるものの、著者は「人生で起こる問題の多くが、お金で解決できるのは事実」と断言するのに加えて、「お金を得るための力は、人生を楽しく生きるために必要不可欠」だと述べる。

 少なくとも日本では“儲ける”“稼ぐ”といった言葉をある種のタブーとして捉える風潮も感じられる。しかし、「仕事で結果を出して“収入を積極的に増やす”という発想に切り替えて、余裕ある生活を送るべき」と唱える著者は、「少々減っても慌てることなく、楽しみながら増やす方法を考えることが大切」だと語っている。

 ただこれは、必ずしもお金だけに執着しろという話ではない。人それぞれの信頼に目を向けると「お金にからむ人の行動は、他人からチェックされているという意識を持つのが必要で、「“お金が多いか少ないか”で人生が支配されるとお金に翻弄されてしまう」と注意を促す著者だが、あくまでもお金というものを、仕事の延長線上にみられる日常や人生を“充実させる”という目的へ向かうための手段として位置付けている。

advertisement

 同書の裏テーマは「人生で真にやるべきこととは何か」だとあとがきで語る著者。内容を読み進めてみると“常識”を盲目的に信じ込むのではなく、時には立ち止まって、自分にとって必要かどうかを何よりも“見極める”のが重要だとも感じさせる。上記の他にも「フレームワークで考える」「根回しを大事にする」「何事もポジティブに考える」といったよく見聞きされるビジネスの常識についても、場面に応じた疑問をぶつけている。仕事へ伸び悩み、迷い始めた人にとっては、大きなヒントとして寄り添ってくれる一冊である。

文=カネコシュウヘイ