「文筆家」星野源 特集!【ダ・ヴィンチ2015年10月号】

特集番外編2

2015/9/5

「文筆家」星野源 特集!【ダ・ヴィンチ2015年10月号】

編集M

 今月の『ダ・ヴィンチ』第2特集は、毎月本誌にてエッセイ連載「いのちの車窓から」をご執筆いただいております、星野源さんの特集です。

 特集扉にも書かせていただきましたが、星野源さんにはたくさんの「肩書き」があります。

 チケット即完・武道館で弾き語り2デイズを満員にする、音楽業界を賑わす「ミュージシャン」としての肩書き。主演映画、舞台、ドラマ、さらにはコント番組でも活躍する「俳優」としての肩書き。
 そして、『そして生活はつづく』が累計10万部突破! 著書も6冊発表されている「文筆家」としての「肩書き」です。

 今回特集ではその「文筆家」としての星野源さんの魅力に迫る特集を、組ませていただきました。

 私が星野源さんと初めてお話したのは、2年前くらいだったと思います。『そして生活はつづく』を拝読した私は、そのエッセイの面白さに虜になり、「連載していただけませんか?」とオファーさせていただいたのがきっかけでした。

 特集内ロングインタビュー記事にもありますが、「仕事として文章を書いていきたい」と、星野さんは最初自ら「売り込み」をして、連載を始められたそうです。
 そうして掴んだ200字程度のコラムからスタートした文筆業は、今では著書が6冊(共著等も含む)、どの作品も軒並みヒットを出す、注目の「エッセイの書き手」になられました。
 また、『蘇える変態』に書かれておられますが、星野さんは2度、ご病気で大きな手術を受けられ、すべてのお仕事を休業されていた期間がありました。
 休養前、月に一度原稿をいただくだけの私ですら、星野さんの忙しさを肌で感じていた頃でした。めまぐるしい日々を送られていたと思います。
 それでも、ご療養中の間も星野さんは「書くこと」を止めませんでした。
 私自身、ご療養明けにお仕事を再開されたとき、『ダ・ヴィンチ』の連載を再開していただけるか、また再開していいものか迷いと不安がありました。でも、星野さんは「書きたいです」と快諾してくださいました。
 その後始まったのが、弊誌の連載「いのちの車窓から」でした。

 星野さんの著書『働く男』(文庫化!)に「書くこと」についてこういう一文があります。

「星野くんに文章の才能はないと思うよ」といろんな人に言われましたが、そんなの関係ねえと奮い立ち、誰にも見せないエッセイや、小説を書きまくりました。(中略)
才能があるからやるのではなく、才能がないからやる、という選択肢があってもいいじゃないか。そう思います。いつか才能のないものが、面白いものを創り出せたら、そうなったら、才能のない、俺の勝ちだ

 「書くこと」を諦めず、止めず、「書くこと」に執念を燃やされてきた星野さんの文章にはとんでもないパワーがあると思います。
 その中に「包み隠さない素直さ」があります。「自分もこうだから、大丈夫だよ」と言ってくれているような、読み手に「力強さ」を与えてくれる、優しさがあります。
 そして「執筆すること」に真剣に、長年取り組まれてきた結果の、唸るほどの「うまさ」があります。
 何よりも、「面白さ」があります。

 特集内では、作家・乙一さんとの対談(ちょっとした奇跡が起こりました……ぜひ紙面でチェックを!)や、トリビュート企画として、星野さんの曲にインスパイアされて生まれた物語として、作家・柚木麻子さんに『地獄でなぜ悪い』で短編を、マンガ家・山下和美さんに『未来』でイラストを書いていただきました。
 また長嶋有さん、豊﨑由美さんによる、星野さんのエッセイ作品書評も掲載しております。

 そして今回の特集内では、連載エッセイ「いのちの車窓から」も拡大版でお届けしております。
 担当編集として、(まだそんなに年数は経っていませんが)どんどん進化を遂げる星野さんの原稿を頂くたびに、高揚感が湧きます。ぜひ、星野源さんの文章に触れていただければうれしいです。

 

 さて、話は戻りますが、「肩書き」がたくさんあるときいうこと、どの「肩書き」でも活躍されているというのは、それだけ星野さんが一つ一つの仕事に時間をかけ、懸命に打ち込まれてきた結果なのではないかと思っています。
 そういう星野さんの姿勢を、「文筆家・星野源」の顔から、感じられるのではないか、と思うのです(勝手ながら)。

 特集を機に「文筆家」星野源さんの魅力を、そして作品から見えてくる、星野源さんご自身の魅力を、存分に感じていただければ幸いです。