寺院と神社の御朱印、同じ御朱印帳に押してもらってもいいの?

暮らし

公開日:2015/10/30

『かわいい京都御朱印ブック』(西村由美子/主婦の友社)
『かわいい京都御朱印ブック』(西村由美子/主婦の友社)

 神社仏閣を参拝した際、御朱印というものをもらうことができます。御朱印とは、神社仏閣に参拝した証です。現代においては、参拝記念という意味合いが強いですが、元来は巡礼(その宗教に固有の聖地・霊場を巡拝すること)の際、その土地に赴いた証でした。古来、多くの土地を巡礼し、御朱印を多く集めることで、願いが叶うという信仰があったのです。昨今はこの御朱印集めが一部で密かなブームとなり、愛好家の女性を指す「御朱印ガール」という言葉も生まれたほど。ただ単純に神社仏閣が好きだから行った証が欲しい! という人だけでなく、スタンプラリー感覚を味わうために集める人もいます。そんな御朱印集めを手っ取り早く行いたいなら、やはり神社仏閣がたくさんある地域に赴くのが一番でしょう。なかでも、京都は多くの神社仏閣がある土地として指折りです。。

 京都に数多ある神社仏閣でもらえる御朱印を紹介し、更には御朱印に関する豆知識やもらう際のマナーまでも紹介してくれるのが『かわいい京都御朱印ブック』(西村由美子/主婦の友社)です。御朱印の起源のほか、この本では「御朱印帳コレクション」と題し、いろいろな御朱印帳も紹介されています。

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 「御朱印帳」とは、御朱印専用の帳面で、御朱印はこれに書いてもらうものです。神社であれば宮司・巫女さんなど、お寺であればお坊さんに書いてもらう事になります。が、ここで1つの疑問が浮かびます。それは「神社とお寺の御朱印は、どちらも同じ帳面にもらっていいのか?」という事です。先に言ってしまうと、答えは「大丈夫」です。神仏習合という言葉を聞いたことはあるでしょうか。これは、日本古来の神道の神(なになにのミコトなど)と、大陸から伝来してきた仏教の仏を同一のものとする考え方(信仰)です。この信仰の起源は古く、それに伴って日本の神社とお寺は長く共存してきました。現在でも、神社とお寺が同じ敷地内に建っている例がありますし、神社の御朱印とお寺の御朱印を同じ帳面に同居させる事は何の問題もありません。また、現実的な理由として、1冊にまとめた方が持ち運びが便利という事もあります。ただし、お寺の場合は宗派(日蓮宗など)によっては、神社の御朱印が押印された帳面に対する御朱印授与を避ける場合もありますので、事前のリサーチはした方がいいでしょう。

 御朱印集めでは、スタンプラリー感覚を味わえると先述しましたが、やはり人様に書いていただくもの、最低限守りたいマナーはあります。といってもそう堅苦しいものではありませんが。静かにする事、書いてもらっている姿を写真に撮らない事、社(寺)務所(御朱印をもらえるところ)が閉まっている時間に押しかけない事……などといったところが、基本的なマナーになります。

 ちなみに、御朱印をもらうために必要不可欠な御朱印帳……これは、実に様々な種類があります。例えば、高山寺(京都)で買える御朱印帳は、鳥獣戯画のデザインをあしらっています。これはこの寺が鳥獣戯画を所有しているからです。御朱印帳は、このようにそれぞれの社(寺)の特色を表したデザインになっているものが多いようです。中には非常に凝ったものもあり、御朱印だけでなく御朱印帳集めをしている人の存在すら予想できてしまうほど、多種多様な種類があります。

 社(寺)務所に行って「御朱印を頂きたいのですが」と言うだけ……入手の簡単さから、御朱印集めは静かなブームが続いています。御朱印帳を手に「この願いが叶いますように」と念じながら御朱印を集めてみるのも楽しいかもしれませんよ。

文=柚兎