1本30万円のお茶が売れる!「好き」を極めたら世界中から注文が殺到

ビジネス

2015/10/31

『わが社のお茶が1本30万円でも売れる理由――ロイヤルブルーティー 成功の秘密』(吉本桂子/祥伝社)
『わが社のお茶が1本30万円でも売れる理由――ロイヤルブルーティー 成功の秘密』(吉本桂子/祥伝社)

 よく「好きなこと」で仕事ができる人は幸せだという。だがそれを実現できるのは、ほんの一握りとも言われる。本当に好きなことを仕事にできるのだろうか? そんな迷いを持っている人に勇気を与える本がある。『わが社のお茶が1本30万円でも売れる理由――ロイヤルブルーティー 成功の秘密』(吉本桂子/祥伝社)だ。

 書名にあるように、吉本氏が販売しているのは、1本30万円もする超高級な日本茶だ。このお茶は、両陛下ご臨席の植樹祭、APEC横浜などの国際会議、アウン・サン・スー・チー女史の晩餐会、JALファーストクラスなど、国を代表するような場で提供されている。

 だが驚くべきことに、吉本氏は起業する35歳までいっさいお茶のビジネスに携わったことがなかったという。

驚きと発見からお茶の世界へ飛び込むことに

 それまでグラフィックデザイナーとして働いていた吉本氏。ある日、お茶と料理を組み合わせて楽しめるお店を訪れた。そこで料理5品に合わせて出されるお茶のおいしさに驚きを受けたという。「料理を引き立てるお茶」がある。

 お酒をたしなむ人なら、ワインのマリアージュという感覚が理解できるだろう。料理だけでも、ワインだけでも味わえない、ふたつが合わさって初めて感じられる味わいがある。そのような感覚をお茶でも感じたという。

 この驚きと感動を店のオーナーに伝えたところ、この店の活動を手伝うことを誘われたという。ふたつ返事で引き受けた吉本氏は、あっさりデザイナーの仕事をなげうった。店でお茶を提供したり、またお茶のプロデュースをしていたオーナーの仕事をサポートしたりすることに。

人がやらないことにヒントがある

 しかしお茶ビジネスというのは、斜陽の産業である。ペットボトルでは購入するものの、自宅で急須を使いお茶を淹れる人は、年々減少している。茶葉の出荷量も同様に縮小傾向にある。

 だがこの逆境こそ、今のビジネスに繋がるヒントだったという。

 自宅で急須を使わないなら、あらかじめボトリングして売り出せばいいのではないか、と。

 店でお茶を淹れて、多く聞かれたのが「お茶ってこんなにおいしいんだ」という声。自宅で淹れるにはテクニックも必要だ。その手間を取らせずに、お茶本来のおいしさを届けたいとの思いが今のビジネスを生んだ。

 そしてさらなる成功のヒントは、「最上級」にこだわったこと。ペットボトルに象徴されるように、安価なお茶はすでにマーケットを築いている。ならば今までにない市場を狙えばいい。そう考え、手広く商品を販売するのではなく、狭く絞り込んだターゲットへと営業をかけたという。

 その結果が、JALのファーストクラスであり、高級レストランでの採用である。

 好きなこと、感動したこと、そのことに素直に飛び込む勇気。そして「人がやらないこと」に取り組む大胆さ。これこそ好きを仕事にする秘訣かと思うかもしれない。だが同時に、1万人にお茶を淹れたという、地道な行動も忘れてはならない。お茶という商材を本当に知り尽くし、愛していなければ、最上級の製品を作ることを思い付かなかったはずだ。

 この本は、起業を目指す人だけではなく、仕事へ戸惑いを感じる人にも活を入れてくれるカンフル剤となるだろう。

 ちなみに、ボトリングされている30万円の日本茶は、最高級の手摘み緑茶だという。その味わいは「『おいしい』を超えて、衝撃的。日本人の魂の深いところを突かれたような清々しい感動」とのこと。

 この値段に手を出せない人は、百貨店やオンラインショップで3000円程度から購入することもできる。人生をも変えるそのおいしさを味わってみてはいかがだろうか。

文=武藤徉子