食品添加物を擬人化! かんすいくん、カラメル色素4兄弟らが自己紹介

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/16


『気になるあの成分のホントがよくわかる! 食品添加物キャラクター図鑑』(左巻健男:監修、いとうみつる:イラスト/日本図書センター)

加工食品のパッケージの裏には、なんだかおどろおどろしい言葉が羅列している。原材料名の欄にある食品添加物だ。決して体にいいものではない。避けるべきである。だが、パッケージの中身はたいていとても美味しいものだ。ならば、彼らの正体を知るのもまた一興というもの。

気になるあの成分のホントがよくわかる! 食品添加物キャラクター図鑑』(左巻健男:監修、いとうみつる:イラスト/日本図書センター)は、その名の通り食品添加物をキャラクター化して紹介する図鑑である。いや、食品添加物が目をきらきらさせながらかわいい姿を武器に自己アピールするのだ。これは、昨年12月に発行されて話題になった『たべることがめちゃくちゃ楽しくなる! 栄養素キャラクター図鑑』のシリーズ第3弾である。ユニークかつ勉強になるということでシリーズ累計12万部を突破している。

早速本書をもとに食品を検証してみよう。例えば、筆者が今日の昼に食べたインスタントラーメン。某食品会社のみそラーメンだ。原材料名の欄には次のような名称が並んでいる。

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油揚げめん(小麦粉、ラード、でん粉、植物油脂、食塩、しょうゆ、みそ)、スープ(みそ、食塩、香辛料、糖類、ポークエキス、ねぎ、かつおエキス、酵母エキス、発酵調味料)、やくみ(七味唐辛子)、調味料(アミノ酸等)、炭酸カルシウム、かんすい、カラメル色素、増粘多糖類、香辛料抽出物、クチナシ色素、酸化防止剤(ビタミンE)、酸味料、ビタミンB2、ビタミンB1、(原材料の一部に乳成分、ごま、鶏肉を含む)

…とまあ、長たらしい。本書によると、加工食品のラベルには「原材料名は全体に占める重さの割合が多いものから順番に表示する」というルールがある。食品添加物は多く使われるものではないから、だいたい最後の方にまとめられているそうだ。このみそラーメンの場合は「炭酸カルシウム」以降だと思われる。

例えば、本書に登場するキャラ“かんすいくん”は、スープが入った丼にどっぷり浸かっていて全身が黄色い。「おいら、かんすいがいなきゃ、ラーメンはつくれないんだぜ!」と高らかに述べ、両手で麺を持ち上げる様子はとても自慢げだ。ラーメンの食感や風味を生み出すものとして必要らしい。胃や腸を傷つけると危惧する人もいるようだが、「おいらは安全性が確認されているし、食べすぎなければ問題ないぜ」と話している。

“カラメル色素4兄弟”は、1、2、3、4の4人のころころした小さな男の子からなる。それぞれパレットや筆、はけなどを振りかざし、足元には黄色いバケツが用意されている。図画の時間の小学生のようだ。だが、「ぼくたちは、むかしからソースやしょうゆに使われていたんだ」と言っているので、案外年齢を重ねているのかもしれない。

このほか「香辛料抽出物」の“香辛料抽出物キッズ”、「酸化防止剤(ビタミンE)」の“ミックストコフェロール兄さん”、「酸味料」の“クエン酸ちゃん”がその愛嬌のある姿を見せる。本書のユニークでときにシュールなキャラを眺めれば、次にパッケージの裏を見たとき意味不明だった言葉の意味がわかるだろう。「あいつか…」とその正体がわかること請け合いだ。

私たちは、添加物は嫌だと言いながら食べ物の色や形などの見た目を気にする。より美味しいもの、便利なものを求める。食品添加物はその要求に応えようとしたものなのだ。ならば、入っているだけで脊髄反射のように拒否する前に、まずは食品添加物が何者かを知るべきではないだろうか。本書はその足掛かりになるかもしれない。でなければ、「勝手なことを言って」とキャラたちのぶつぶつ話す声が聞こえてきそうだ。

文=林らいみ