入りにくい時は事前に一杯ひっかけて!『ワカコ酒』作者が描く、超実践的「女の一人飲み」入門書!

コミックエッセイ

2016/6/2

『新久千映の一人さまよい酒』(新久千映/KADOKAWA)

 実写版TVドラマも好調で、昨今の居酒屋ブームの盛り上がりに大きく貢献する、女の一人飲み漫画『ワカコ酒』。その作者、新久千映による新刊『新久千映の一人さまよい酒』が今、話題となっている。

 一人飲み歴10年を超える作者自身を主人公としたエッセイ漫画。全8章+特別編という構成で、第1章の「ちえぞう流☆お店のくぐり方」に始まり、「メニュー選びのおこだわり」や「頑固おやじ・毒舌女将の愛し方」、さらには「攻め! の二日酔い対策」など、作者自身の実体験に基づいた、生きた情報が満載だ。特に「お酒は好きだけど一人で居酒屋に入るのはちょっとこわい。でもそういう世界には憧れる!」という若い女性にはぴったりの内容で、本書を読めば必ずや、一人で大衆酒場のれんをくぐれるようになることだろう。

 例えば第1章「お店のくぐり方」では、「いきなりお店に入る度胸はないので、前を通るたびに横目でさりげなくチェックして情報を集める」とか、どうしても入りにくいお店には「事前に一杯ひっかけて、酔っぱらった勢いで入る」など。決して通ぶった上から目線ではなく、「あるある」と笑わせながらも、自らがこれまでの酒飲み人生で蓄積してきたノウハウを惜しげもなく公開してくれるのが嬉しい。

 

一人さまよい酒

 

 また「攻め! の二日酔い対策」の章では、予防アイテム、飲み方の注意、ケアアイテムを徹底的に紹介。市販のドリンク剤やアルコール分解を助ける医療品の中から作者のおすすめが紹介されたり、チェイサーの理想的な利用法、特製「酔っぱらいおたすけ水」の作り方など、実践的な対策が語られている。それでもつい二日酔いになるまで飲みすぎてしまう作者の姿も可笑しく、「二日酔いの朝に何を食べるべきか?」のエピソードは、経験者なら涙なしでは読めない共感度だ。

 さらに後半は、バーでの立ち振る舞いや、日本酒、ワインを選ぶ際におさえておきたいポイントなど、中〜上級者向けの知識を専門家へのインタビュー形式で収録する。特に多くの日本人が苦手意識を持つ「ワインでオドオドしない!」の章には、ワインソムリエであり、とことん敷居の低い指南書『男と女のワイン術』シリーズの著者としても知られる、伊藤博之さんが登場。まず初めに知っておきたい基準ワインや、初心者でもすんなりと理解できる味の判断方法などを解説してくれる。特に、調理された料理とワインの色の濃さを合わせると失敗しづらいという「色の法則」は、思わず目から鱗のテクニック。親しみやすい絵と図解のわかりやすさで、読めば先入観や苦手意識がなくなるばかりか、今夜にでも一人、ワインバーに飛び込みたくなってしまう自分に驚くことだろう。

 

一人さまよい酒

 

 作者の住む広島の、酒とうまいものの魅力をたっぷり紹介した特別編「新久千映のカンパイ! 広島」も含め、酒とグルメ好きなら全編楽しく、読み終わった時には酒場通に一歩に近づいているという嬉しい1冊。新たな世界への扉を開くきっかけとして、ぜひ手にとってみては?

 

取材・文=パリッコ