シャフト制作PVに期待値MAX! 『さよなら絶望先生』久米田康治の最新作は姫がとにかく可愛い!

アニメ・マンガ

2016/7/15

『かくしごと』(久米田康治/講談社)

 昔は漫画雑誌やコミックのCMがテレビで流れるなんてことは滅多になかったのだが、最近ではかなり一般的となっている。それでもPV(プロモーションビデオ)が作られることはあまりなく、大体が表紙画像や版権イラストの組み合わせだ。ゆえにPV付きのコミックCMとなれば、かなり力の入ったタイトルだと容易に想像できるだろう。しかもそれを『化物語』『魔法少女まどか☆マギカ』などを制作した会社「シャフト」が担当しているとなれば、なおさらである。『かくしごと』(久米田康治/講談社)──これが世上の注目を集めることが約束された作品のタイトルだ。

 もちろんこの「シャフト」と「久米田康治作品」の組み合わせは、適当に決められたわけではない。かつてシャフトは久米田氏の作品である『さよなら絶望先生』のアニメ化に際して、制作を担当していたのだ。そういう意味ではいわゆる「お約束」的な流れが存在することも事実だが、それも作品に対する期待値あってのことである。

 では『かくしごと』とは一体どんな作品か。主人公・後藤可久士(ごとうかくし)は漫画家である。下品な漫画を描いているため、自身の娘・姫には自分が漫画家であることを隠している──つまり「隠しごと」は「描く仕事」というワケだ。要するに姫と親バカな生活を送りつつ、仕事をひた隠しにしながら漫画を描き続ける主人公の苦闘を描いた作品なのである。

 まず本作で特筆すべきことは「姫」がとにかく可愛い、ということである。個人的な感想ではあるが、これまでの久米田作品では女性キャラの絵柄は可愛いものの、性格などがおかしかったりキツかったりというケースが多かった。ゆえに私には今まで「可愛い」と思えるキャラが存在しなかったのである。ところが、本作の姫は違う。久米田キャラらしく変な言動があるにはあるが、あくまでメインは「可愛い娘」として描かれている。「カレーはお父さんのが一番おいしいよ」とか「お父さんがよろこぶと思って」など、その発言はとにかく父親想いだ。まあ年齢が10歳なのであまり毒々しい性格にはできなかったのかもしれないが、姫の存在は作品の読みやすさに大きく貢献している。

 内容としては主人公の後藤可久士が姫に職業がバレそうな危険と闘いつつ、漫画家としての生活を「作者の体験」っぽいネタなどを盛り込んで描いている。漫画家の生態を皮肉交じりでネタにする、これまでの「久米田ワールド」を踏襲したものだ。各エピソードの最後には「描く仕事の本当の仕事を書く仕事」というコラムがあり、漫画に使われたネタなどについて作者自らの解説が添えられる。例えば後藤が全裸で著者近影に写っているネタは、実際に著者が若気の至りでしでかしたことが土台となっている模様。ネットで流れている現状に「リベンジポルノ」「いい加減許してもらえないでしょうか」と心中を吐露している。そういうことなので、皆さん、許してあげてください。

 ちなみに先述した本作のPVでは主人公の声を人気声優・神谷浩史氏が担当。氏は『さよなら絶望先生』でも主人公・糸色望(いとしきのぞむ)の声を当てており、PVの本気度がうかがえる。これを見れば確かに「アニメ化か!」と盛り上がる動きも理解できるが、まだ第1巻。ここはしっかりとエピソードのストックが充実するまで、構えて待つのが大人の対応というものだろう。とはいえ、本作を読んでいるとどうしても後藤可久士の台詞が「ヒロC」ヴォイスで再生されてしまう。……どうやらアニメ化を待ちきれないのは、私自身だったようである。

文=木谷誠