人の顔と名前を覚えられない、学歴マウンティング… ”大人のコミュ力処世術”を辛酸なめ子さんに学ぶ!

暮らし

2016/11/17


『大人のコミュニケーション術 渡る世間は罠だらけ』(辛酸なめ子/光文社)

 「あの人は、コミュニケーション力が高い」この一言で、会ったこともないあの人は、仕事のできる人、華やかで充実した人生を送っている人というキラキラしたイメージにならないだろうか。「コミュニケーション力」略して「コミュ力」があるかないかで、大人の世界では評価が自ずと決定づけられてしまう。

 誰もがコミュ力が高い方が良いのはわかっている。しかし、時には煩わしさも感じるのが本音。大人の付き合いってどういうもの? コミュ力を高めれば、リア充って思われるのかな? そんな人との付き合い方に悩める大人たちに効く処方箋が、『大人のコミュニケーション術 渡る世間は罠だらけ』(辛酸なめ子/光文社)。

 自身のコミュ力を偏差値42と評価する辛酸なめ子氏が、心が折れかけたり、人間不信になりそうになりながら、コミュ力を高めようと奮闘した記録。鋭い視点で見抜いた、ちょっぴり怖い人間の表と裏のコミュ力バトルは、ぞくっとしながらもクスッと笑える。

 大人になると、「人の顔と名前を覚えられない」という悩みが出てくる。中高生の時は、学年全員の顔と名前はもちろん、誕生日や電話番号まで覚えていたのに、今や毎日会っている人の名前ですら「ほらっえーと、あそこの部署の……うーん名前が出てこない!」なんてことがしょっちゅう。

 なめ子氏も、名前を覚えられないことで、心に影を落としている出来事がいくつかあるよう。某コスメブランドの仕事で先方の社員3名との会食中、全員の名前がわからず、罪悪感を抱えたまま2時間の会食を終えたとか。名前を忘れた時の対処法として、何度か会ったことがある人でも、「名刺を新しくしましたので」と、改めて名刺交換をする。また、書いて覚えるというのは有効で、その日に会った人の顔を思い出しながら、「山田さんありがとう」「田中さんありがとう」とノートに書いているという。

 他にも、「食べるIQ」とも言われている「ゴツコラ」というハーブを教えてもらい個人輸入サイトで注文したり、ネームタグを使用している会社が増えたので、しっかりと名前を確認するためにかすみ目のサプリを購入したりと、人間関係を保つには、お金がかかるとなめ子氏。

 女子の間ではコミュ力が水面下でバトルをしているらしい。「格付け女子」2014年に話題になった「マウンティング女子」というワード。

 なめ子氏自身も、マウンティングされた経験があるという。〈学歴マウンティング〉出身中高を聞かれたので、答えたら「そこは、私も受かったけど学芸大附属に行きました」と暗に、滑り止めだったことをアピールされる。〈顔マウンティング〉プライドが高い美人は、他人のことを美人ときれいと言わない、美人より一段低い「かわいい」としか褒めない。そのさらに下は「可愛らしい」。実際、CAの友人に、「可愛らしい」と言われたことがあって悲しくなったそうだ。

 ただ、受け取る側にも問題があって、相手の言葉の裏を読んで、ネガティブに解釈してしまうのは良くない。おばちゃんの図太さを真似して、相手が自慢げに話すことを「いいじゃな〜い!!」と大声で返して、強制終了させたり、褒めあうことはgive&takeだと思って、いちいちイラっとくる自慢にも褒められたら褒めあうと機械的に対応したりと、様々な対処法を教えてくれている。

 女性モンダイは、「女友だちとの疎遠の法則」「モテる秘術」と他にも気になるタイトルが並び、次世代コミュニケーションとして、LINEやInstagramといったSNSへの光と影について書いている。

 本書を読めば、言葉の持つ力を真剣に考える辛酸なめ子さんから、「そんな見方もあったのか!」と心がふっと軽くなるような辛口コメントが届けられるに違いない。

文=大石百合奈