周りの人を味方に変える!「発達障害&グレーゾーン3兄妹」を育てる母の120の子育て法とは?【写真でわかるアイデア】

出産・子育て

2017/3/8

 朝ドラの『べっぴんさん』で、以前話題になったエピソードがある。子供服店「キアリス」を支える四人娘のひとり・良子の息子がなかなか言う事を聞かず、ついには預けていた保育園から「もう預かれません」と言われてしまったというものだ。一人で悩みを抱え途方にくれてしまう良子…そんな姿にネットではさまざまな同情の声が寄せられていた。

 その後の展開でポイントになったのは「周囲の理解と協力」。どんな子育てにおいても大切なことだが、こと凸凹を抱えた子の場合にはなおさら不可欠であり、おそらく現実はなかなかドラマのようにはいかず苦しんでいる方もいることだろう。だが、先頃出版された『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』(大場美鈴/ポプラ社)なら、そんな悩みの強力な援軍になってくれそうだ。表紙に大きくメッセージされた「周囲の人を強い味方に変える方法教えます!」がひときわ力強い。

 著者の大場美鈴さんは、ASD+LD+ADHDの長男(小5)と発達障害診断ではグレーゾーンになる次男(小3)と長女(年長)を育てながら、「楽々かあさん」としてFacebookなどで自ら制作した発達障害児に役立つツールや、日々の子育てアイデアを発信、自作ツールがを紹介した記事のシェアが14万シェアされるなど多くの信頼を集めてきた方だ。ほぼ1年前に出版された前著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108 の子育て法』に続くこの本は、とにかく迅速な親子の自信回復をめざした前著の次の段階ということで、周囲の協力を上手に得ながら、子どもをのびのび伸ばしていくアイデアを紹介している。

【買い物手順カード】「買い物の手順カード」を作って、子どもに予め見せておくと、レジの流れをイメージしやすい

【コインケースの両替えあそび】「両替してあげるから、10円が10個貯まったら教えてね」と声かけ。繰り上がり・繰り下がりの理解がスムーズに!

 スキンシップで運動能力をあげていく親子あそびに始まり、料理や買い物など社会への適応力アップのトレーニング、まわりの人の気持ちを考えさせるアイデア、こだわりやかんしゃく・パニックへの対応方法など、紹介されている療育アイデアは実にさまざまだ。その上で「学校との連携と合理的配慮」として周囲の理解を求める方法や、「友だち関係といじめ対策」として子どもの自主性を重んじつつできる親の配慮など、凸凹がある子の子育てで特にナーバスになりそうなポイントが丁寧に取り上げられている。

 なによりそれら全てが発達障害児を実際に育てている先輩ママとして経験してきたことばかりであるのが心強く、いわゆる育児専門家・研究家では難しい「心の目線」に寄り添ってくれるのがありがたい(なんたって「先生」は、ママ友との上手なつきあい方や、パパの上手な運転法&諦め方までは指南してくれないだろう)。なお紹介されているアイデアは全120とボリュームは相当なもの。それはとても心強い…と同時に、一から生真面目に真似しようとしてしんどくなってしまう方もいるかもしれない。そんな時には深呼吸してひと休みひと休み。著者もまずは「今、無事に生きているだけで、お子さんもお母さんも100点満点」と言うように、今の自分のがんばりを認めた上で、マイペースにこの本を参考にしていけばいいのだろう。

 人の何倍も手のかかる子には、何倍も手をかけてあげたらいい。誰が親じゃなく、みんなで育てたらいい――ドラマではお手伝いのキヨさんの言葉が周囲を目覚めさせた。ドラマのようにはいかないかもしれないが、この本を上手にメンターにして、凸凹子育ての応援団が少しでも増えることを願いたい。

文=荒井理恵

【こまりスケール】最初はスケールを指差しで意思表示できればOK!

【疲れスケール】自分の疲れに気づきにくい子どもも「疲れている証拠」を身体症状で表したシートがあれば自分で体調管理しやすくなる

【マナーカード】食事中に動画を見る、う○こと発言する、など子どもにしてほしくないことをまとめたカード

【あいまい表現シート】子どもに中間表現を教える時に役立つ、視覚的な一覧表

【ステータス・ゲージ】RPGや格闘ゲーム好きな子どもには痛みのスケールをゲーム風にしてみるとわかりやすい

お助けグッズがダウンロードできる「楽々かあさん」公式サイト

<目次>
1章 家庭でできる親子あそび編
2章 生きる力・考える力を伸ばす工夫編
3章 ソーシャルスキルを身につけるコツ編
4章 友だち関係といじめ対策編
5章 学校との連携と合理的配慮編
6章 こだわり・かんしゃく・パニック対応編
7章 自己理解とセルフコントロール編
8章 人づき合いがしんどい時の処世術編

大場美鈴(おおば・みすず)
楽々かあさん。1975年生まれ。うちの子専門家(専業主婦)。美術系の大学を卒業後、出版社で医療雑誌の編集デザイナーとして勤務し退社。実父の介護経験を経て、結婚。3人の子宝に恵まれる。長男(小5)はASD+LD+ADHDで、通常学級から支援級に転籍。次男(小3)、長女(年長)はいくつか凸凹特徴のあるグレーゾーン。2013年より、Facebookなどで管理人「楽々かあさん」として、育児の傍ら、発達障害育児に役立つ支援ツールの制作と、日々の子育てのアイデアをシェア・情報発信する個人活動を開始。「声かけ変換表」がネット上で約14万シェアを獲得するなど拡散し話題となり、「AERA」「kodomoe」「東洋経済オンライン」「リタリコ発達ナビ」など、雑誌・ネットメディアに掲載多数。

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