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仕事が遅いのは“思いつき”タイプと○○タイプ! 外資系プロジェクトマネージャーが選ぶ、仕事が遅い自分を変える5冊!

日本IBM・木部智之さん

 本を読む時間がない日々忙しい人のために、ロングセラー、ベストセラー、話題の本etc…ダ・ヴィンチニュース独自の視点で選書した名著を紹介する本連載。第6回目は特別編として、「スピード狂」の外資系マネージャーとして知られる日本IBMシニア・プロジェクト・マネージャーの木部智之さんにインタビュー。著書『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』(KADOKAWA)も好評の木部さんに、仕事が遅い人に読んで実践してほしい5冊を紹介いただいた。

 

 編集者からの提案で、『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』というタイトルの本を出したからでしょうか。僕のことを“スピード狂”みたいに思っている人もいるみたいですが(笑)、どちらかというと“速さ”よりも“ロジカルシンキング”にこだわって仕事をしてきました。

 頭のなかで物事を論理的に体系立てて考えられれば、思考のスピードが速くなり、そのぶん作業も速く進むので、結果的に仕事が速くなる。これは当たり前といえば当たり前のことなので、自分では仕事が速いという自覚はなかったんですね。でも周りの人たちのあまりの仕事の遅さにびっくりして、あと5倍は速く仕事してくれよと思うこともありました。

 

仕事が遅いのは“思いつき”タイプと“目の前の仕事から手をつける”タイプ

 仕事が遅い人は大きく2つのタイプにわけられます。ひとつは物事の整理が下手で、思いつきで進めるタイプが多い。そういう人がブレストで集まって話をしても、ただしゃべって終わるだけ、というのはよくあるパターンです。思いつきで仕事をするとミスも起こりやすい。しかもそのミスを後からリカバリーすると時間が2倍、3倍かかるのです。

 では、そういう人はどうすればいいのか? 僕がよく利用するのは、「課題解決のフレームワーク」です。横軸に具体的なテーマを書いていきます。縦軸にはそれぞれの現状、課題、解決策という項目を立てて、話し合った結果を書き込んでいきます。このフレームワークは、あらゆる問題解決の場面で役に立ちます。そして物事を論理的に考える思考が身につくのです。

 限られた時間のなかで、こういうアプローチがすぐにできる人間とそうでない人間は、3年後、5年後の伸びが全然違いますね。

 もうひとつのタイプは、何も考えずに目の前の仕事から手をつけていく人です。誰かから「これやって」と言われればすぐにとりかかり、メール処理は来たものからすぐに返信し始めてあっという間に1時間費やしたり。これは単純に習慣や癖の問題なので、自分が相当意識して直そうとしない限り直りません。そういう人は目の前に転がっている石ばかり拾っていて、遠くを見ていないんですね。僕もよく、もっと視点を高くして遠くの大きな石を早めに片付けていこうって言うんですけど、なかなか簡単にはできません。

手書き派とういう木部さんのノートは方眼タイプ

 

“やるかやらないか”でどんどん差がつく

 速さに限らず仕事全般に言えることですが、結局、やるかやらないかなんです。そこでどんどん差がついていく。差をつけていく人は、仕事に向きあう心構えが違います。そして自分から勉強しています。本を読んで実践している。逆にできない奴は逃げています。

 たまに、天才肌の人を見かけますが天才だからか思いつきで我流で仕事をするんですね。すると仕事がやっぱり洩れるのであとあと大変になる。そういう人は、「まずはロジカルシンキングを身に付けた方がいいよ」とアドバイスをします。頭はいいから勉強するとすぐに理解はしますね。仕事でその成果が出てくるかどうかは、本人が実践しようとするかしないかです。実践しない人は、天才肌であってもいつまでたっても我流のままですね。

 頭がいいことと仕事ができることは、全然イコールじゃありません。ビジネスの世界では、多少、自分の頭に自信がない人でも、努力次第で頭がいい奴をどんどん追いぬくことができるんです。

 

5年後、10年後の目標から逆算する

 自分の職場にいる優秀な先輩や上司を思い浮かべてみてください。特に入社してまだ数年以内の人は、5歳、10歳上のデキる人たちをみていて、自分が5年後、10年後にその人のレベルに追いつく自信が持てるかどうか。若手の部下と話しているとき、「3年後、5年後、10年後、どうなりたいの?」って聞くんです。「同じ職場の偉い人が何歳であの職位になったか知ってる?」と。そういう人は早い段階でそのレベルに到達しています。「そこから逆算してやることを考えたら、時間が足りないぐらいでしょ」って言うと、みんなハッとします。今の自分の位置からぼんやりと目標を掲げるんじゃなくて、何年後にどうなりたいという目標から逆算する発想が大事なんですね。

 成長したいなら、仕事ができるようになりたいなら、勉強は欠かせません。学生時代まで毎日勉強していたのに、社会人になってまったく勉強しなくなるほうがおかしいと思いませんか? むしろ社会人になってからのほうが、実践レベルの勉強をどんどんしていかないといけないんです。

 

ビジネス本は実践しなければ読まないのと同じ

 かくいう僕も、読書だけでここまでやってきました。もちろん今も勉強は続けています。僕はだいたい同じテーマで3冊読んでいます。いま出ているビジネス本に目新しいものはなくて、長い歴史のなかにある同じようなテーマが、繰り返し書かれているだけなんですね。ただ書き方が違う。同じジャンルの本を3冊読むと重なる部分があるので、それがそのジャンルのエッセンス、ベースにある部分なんです。これがたとえば1冊だけだと、偏りがあったりするわけですが、3冊読むとポイントが見えてきます。

 たまに「本だけでなんでそんなにできるようになったの?」と聞かれますが、ビジネス本は読むだけじゃなく実践しないと意味がありません。読まないのと同じです。逆に実践すればするほど成長できる。別に読んだ内容を全部真似する必要はないんです。やってみたけど合わないなとか、これは共感できないなと思ったことは、やらなくてもまったく問題なしです。とにかく自分にできそうなことを1つでも2つでも“すぐに”やる。やってダメならまた次にいけばいいんです。

 今回はそういう観点で、ビジネス本初心者から上級者まで段階的にお薦めの5冊を選んでみました。

 

■『なぜか、「仕事がうまくいく人」の習慣』
(ケリー・グリーソン:著、楡井浩一:訳/PHP研究所)

「やる仕事が多く、時間が足りない。もっと効率的に仕事をするにはどうすればいいのか?」という万国共通のビジネスパーソンの悩みの解決策を具体的に記している本書は、世界15カ国で売れているベストセラー。机の整理術、ファイルのまとめかた、書類・メール・電話の処理法、他人に仕事を任せる心得など、今すぐ真似できるスキルやノウハウを紹介している。この本を読んだあとは、まずどれかひとつでもやってみること。僕が興味を持って付せんを貼ったのは数ページ。でも本の中身を覚えていたのか、今の仕事に役立っている他のアドバイスもいくつかあります。

■『先延ばしにしない技術』
(イ・ミンギュ:著、吉川南:訳/サンマーク出版)

 これは私がまだ「仕事をスピードアップするとミスにつながるのでは?」と思っていた頃に、仕事が速くて判断力もある役員の補佐を務めて、自分もスピードを追求してみようと思った時期に読んだ本。ひと言で言うと、「今すぐやりなさい」という内容です。平凡な人とデキる人の違いは、すぐやるかやらないか。本書で強く印象に残っているのは、「速く決めて、速く動く」「一度で終わらせる」などの行動指針です。「先延ばしにしない」ことでのメリットが実例に沿って語られているので、自分もやってみようという気持ちになり、実践したことで確実に効果を得られました。

■『1分間マネージャーの時間管理』
(ケン・ブランチャード、ウィリアム・オンケンJr、ハル・バローズ/パンローリング)

 私が若手リーダーに必ず奨める本。リーダーの必読書と言っても過言ではありません。リーダーである自分はめちゃくちゃ忙しいのに、ふとメンバーを見るとそんなに忙しくなさそうで早々に帰っていく……というのは、新任リーダーにありがちな光景です。新任リーダーだけでなく、チームの成果がいまひとつ出ていないリーダーがよく陥っている状況でもあります。その状況を打開するために、この本では 「部下の仕事は部下にやらせろ、リーダーはリーダーの仕事をしろ」と言っています。仕事を「サル」にたとえて、それが「あなたが世話をするべきサル」なのか、「他人が世話をするべきサル」なのかと問いかけるなど、自分と他人がやるべき仕事の境界線をはっきりさせるコツがわかりやすい本です。

■『アメリカ海軍に学ぶ最強チームのつくり方 一人ひとりの能力を100%高めるマネジメント術』
(マイケル アブラショフ:著、吉越浩一郎:訳/三笠書房)

 自分のチームを強いチームに育てていくのは簡単ではありません。今日、明日で即効的な効果が出るものではないですが、早ければ数カ月でチームが育ち、チーム全体の仕事が速くなります。同時に、リーダーの仕事は格段に減っていくのです。そのために必要なエッセンスが凝縮しているのが本書です。海軍一のダメ軍艦に配属された艦長が、成果の上がらない組織を立て直し、柔軟で自主性にあふれる「強いチーム」をつくり上げたストーリーです。海軍がテーマということで、ビジネスとは関係ないのかな? と思って読みはじめましたが、まったくそんなことはなく、むしろすべての内容に納得と感動の連続でした。初めてリーダーになる人から、大きな組織のリーダーまで参考になることが多い本だと思います。

■『考える技術・書く技術 問題解決力を伸ばすピラミッド原則』
(バーバラ ミント:著、山崎康司:訳/ダイヤモンド社)

 これは5冊のなかでもかなり難易度が高いのですが、ビジネス名著として広く読まれているベストセラーです。タイトルは『考える技術・書く技術』となっていて、章立ては「書く技術」から始まっていますが、私は「考える技術」の本だと捉えています。なぜなら明晰な文章を書くためには、明快な論理的思考が求められるからです。この「考える技術」を身につければ、物事を論理立てて考える思考力と思考のスピードが身につき、3年後、5年後、10年後にライバルと大きな差を付けられるでしょう。

(プロフィール)
木部智之
横浜国立大学大学院環境情報学府工学研究科修了。日本IBMシニア・プロジェクト・マネージャー。2002年に日本IBMにシステム・エンジニアとして入社。入社3年目にしてプロジェクト・マネージャーを経験。その後、2006年に水戸でのプロジェクトでフィリピン人メンバーと一緒に仕事をする機会を得る。英語はもちろん、日本語も含めていくつもの言語を巧みに操り、かつ仕事も優秀な彼らに衝撃を受ける。以来、世界中どこでも通用するスキルを身につけることを追求。2009年に役員のスタッフ職を経験し、2010年には 最大級の大規模システム開発プロジェクトにアサインされ、中国の大連への赴任も経験。現在もそのプロジェクトを担当しており、日本と大連で数百人のチームをリードしている。プロジェクト内で自分のチームメンバーを育成するためにビジネススキル講座も担当。
【ブログ】 外資系社員が実践している成果の出る仕事術

取材・文=樺山美夏 写真=編集部



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