「泣きゲー」好きな男はBLにハマる!?「男のためのボーイズラブ」読者座談会

マンガ

公開日:2017/3/30

——BLには「ヤマなしオチなしイミなし」に由来する「やおい」という俗称がありますが、今のBLにはきちんとヤマもオチもイミもあると。

ミートミック その誤解は解きたいですよね。女性はドラマを大切にする傾向にあるので、男性向けAVのような「出会って○分で合体!」というような作品よりも、ドラマパートありきのエロを好む。最近女性向けのAVが盛り上がってますが、あれも同じ文脈。関係性があってこそなんです。

桜井 ミートミックさんの言うように、たしかに男性向けのAVは「ヤるだけ」のことが多いですね。ただ、エロゲーだとまた違うんです。いわゆるオカズとしての実用性を重視した作品のほかに、「泣きゲー」と呼ばれる、エロさよりもストーリー性を重視した作品が一ジャンルとして支持されている。泣きゲーが好きな人は、BLにもハマるんじゃないかな。

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桜井さん

ぺろこん あと「関係性」を楽しめる人って、男女問わずいるじゃないですか。うちの夫はBLは読まないんですけど、ナチュラルボーン腐男子で。

ミートミック それは一体(笑)。

ぺろこん 「この芸能人とこの芸能人、ツイッターでは喧嘩してたけど、イベントではこういう会話してたよ」とか、私の好きそうな関係性を仕入れては教えてくるんですよ(笑)。『笑点』の代替わりをめぐる人間関係とか、それこそ女性アイドル同士でもいいんだけど、日常での細かい関係性エピソードを楽しめる人は、BLで描かれる男同士の関係性も楽しく読めると思う。

桜井 あー、それは絶対ありますね! たしかにぼくもお笑い芸人のコンビ話とかすごく好き。

B太郎 でも、向いている・向いていないということを考えるよりも、まずは読んでみてほしいですよね。いろいろなバラエティに富んだ作品があるから、マンガ好きなのにそれを無視しているのは、単純にもったいない。

——BLを食わず嫌いする男性の中には、「俺は別に男を好きなわけじゃないから、男と恋愛している話に感情移入するのはちょっと……」と抵抗を感じる人もいるようです。

B太郎 たしかに、男性の場合、BLで描かれていることが実生活とリンクしかねないところはあるかもしれませんね。ゲイという自認をしていない男性だって男とセックスできないわけではないから、自分の中の扉が開いちゃう気がして怖いのはあるのかもしれませんね。別にBLを読む前からあるものだと思うけれど。

桜井 そもそも、別に感情移入しなくても読めますからね。ぼくは客観的に「尊い」と思って読んでますよ!さらに言えば「こういうカップリングが萌え」「男同士のこのやりとりにときめく」という感覚がまだない人でも、十分ストーリーが楽しめる作品だってある。ただ、敬遠する男性がいるのもわかる。BLって「女性向け」と称されることがあるじゃないですか。あれを見ると、ちょっと肩身が狭いなとは思いますね。書店とかで「女性向け」と書いてあると、女性の下着屋さんに入り込んじゃったようないたたまれなさがある……。

ミートミック それは盲点でした!BLはたしかにこれまで女性しか読んでこなかったジャンルではあるんだけど、今はこうやって楽しんでいる男性もいるわけだから「女性向け」という言葉はふさわしくないですよね。青年雑誌で描いているBL出身作家さんもたくさんいるし。

ぺろこん それって逆も言えますよね。私、じつは最近、いわゆる「男性向け」の成年コミックやAVに入門してみているんです。そっちはそっちで、意外と女性でも楽しめてます。純粋におもしろいコンテンツを男女問わず楽しめるようになるといいですよね。

桜井 ちょっと興味を持ったら読まないと損だと思います!

B太郎 BLと一口に言っても幅広い作品があるから1、2冊を試しに手にとるだけだと、好みに合わないこともあるでしょうけど、そこでめげずに奥まで掘り進めていってほしいですよね。

ぺろこん この座談会が後押しになれば!

取材・文=平松梨沙 写真=鈴木慶子
(本記事は『ダ・ヴィンチ』2017年3月号「男のためのBL」特集からの転載です)

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