『孤独のグルメ』に続く「ひとり飯」ドラマが誕生! 竹中直人×玉山鉄二『野武士のグルメ』原作者・久住昌之インタビュー

テレビ

2017/4/6

 “深夜の飯テロドラマ”として絶大な支持を集めた『孤独のグルメ』。その原作者である久住昌之さんが手掛ける『漫画版 野武士のグルメ』(土山しげる 絵/幻冬舎)が、実写ドラマ化され、3月17日よりNetflixにて配信開始となった。映像化を担当したのは『孤独のグルメ』のスタッフということもあり、新たな「ひとり飯」ドラマの誕生は話題を集めている。

 本作は、定年退職した男・香住武(かすみ・たけし)を主人公に、焼きそばと昼ビール、民宿の朝ごはん、街の中華屋さんのタンメンなどを食べ歩くさまが淡々と描かれた作品だ。この香住の心には「野武士」が住んでいる。定年退職し自由の身となった香住は、自らを「野武士」と重ね合わせ、時に自由に、孤独に、食べることで得られるささやかな幸せを求め歩く。実写化にあたっては、香住役は竹中直人さんが、野武士役は玉山鉄二さんが演じており、そのギャップも見どころのひとつとなっている。

(C)久住昌之 土山しげる/幻冬舎

 さて、この話題性バツグンの『野武士のグルメ』。今回は原作者の久住昌之先生にインタビューを敢行し、原作にまつわるお話やドラマの感想などをうかがった。

 

『野武士のグルメ』が生まれたきっかけは

――「野武士」の発想が生まれたきっかけを教えてください。

久住昌之さん(以下、久住)「そもそも、『野武士のグルメ』は、『孤独のグルメ』のあとがきを膨らませたエッセイ集だったんです。どうして野武士というイメージが生まれたかというと、単純に『俺って気が小さいな』って思ったことがきっかけで(笑)。『こんな時、野武士だったらこうするよな』っていうものをエッセイとして書いてみたんです。それをマンガ化するにあたって、土山さんが香住武っていう主人公を作ってくださって。そこから『野武士のグルメ』はまったく違うものになりましたね。ドラマだと、野武士が現実に出てきて、香住と同じ空間にいるっていう演出がされてるんです。エッセイがフィクションになって、さらにファンタジーになった。どんどん面白くなってますよ」

――本作では「昼間のビール」に代表されるような“ささやかな幸せ”が描かれていますが、そこにはどんな想いをこめてらっしゃるんですか?

久住「想いとか感じてもらいたいこととか、そんな大層なものはありませんよ(笑)。マンガでもエッセイでもドラマでも束の間楽しんでもらえればそれで十分。決して“グルメ”とは思っていませんけど、グルメマンガとして読んでもらっても良いし、香住のことをトンマな奴だなって思ってもらってもいいんです(笑)」

――現在、久住先生原作の「グルメマンガ」が続々ドラマ化されています。

久住「『孤独のグルメ』も『野武士のグルメ』も、だいぶ昔に作ったものだからねぇ……。その当時ドラマ化されていたらな、なんて思ったりもするけど(笑)。でも、何十年も経ってドラマ化されるなんて、それまで持ちこたえてくれたこと自体がうれしいですよね。いずれもマンガ家さんが原作を時間をかけて丁寧に仕上げてくださったからで、そこは本当に感謝してます」

――久住先生の作品はもちろん、最近は実にさまざまなグルメマンガが登場していますよね。

久住「これだけグルメマンガが世に出てきているのは、日本人が異様なまでに“食べること”に興味を持っているからなんでしょうね。昔はラーメン屋さんにこだわる人なんていなかったけど、いまは行列に並んでまで食べたいと思う人がいる。どんなに貧乏な学生のアパートにも、必ず、スプーン、フォーク、ラーメンどんぶり、箸、茶碗があるでしょう? 和洋中の食器を揃えてるなんて、世界中で日本だけだと思いますよ。そんな国だからこそ、こういうグルメマンガが流行って、売れたりしてるんでしょうね」

――日本だからこそ生まれたマンガのいちジャンルというわけですね。では、最後に読者、視聴者へのメッセージをお願いします。

久住「ドラマを観て、マンガを読んで、ぜひ知らない街を歩いてみてほしいですね。おいしいものって、自分の目と足で探すことに醍醐味があるんです。たとえ、おいしくない外れのお店に出会っても、受け入れればドラマが見つかったりする。それもまた楽しいものですよ」

 日常におけるささやかな食の楽しみを提示する、『野武士のグルメ』。エッセイ、マンガ、実写ドラマ。それぞれの作品を見比べてみるのも楽しいかもしれない。久住先生渾身の一作、ぜひこの機会に味わってみよう!

取材・文=五十嵐 大