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【AI:人工知能】「シンギュラリティ」後、私たちはどう生きるのか? 生活や仕事はどう変わるのか?

 AIの進化が目覚ましい。2045年頃には、全人類の知能を超えるAIが誕生する「シンギュラリティ」が起こるともいわれる。今から約30年後、私たちの生活はどのように変わっているのだろうか。AI関連書から探ってみたい。

 未来は過去からある程度予測できる。『AI経営で会社は甦る』(冨山 和彦/文藝春秋)は、過去のデジタル革命から、ビジネスにおいて「稼ぐ」構造が根こそぎ変わると予測する。少なくともイノベーションの大波が引くまでは、製品やサービスはもちろんビジネスモデルレベルでも、次から次へと新たなものが登場しては、一部が残り大半が淘汰される「ビジネスサイクルの短命化」現象が続く。製品・サービス・機能は標準化・モジュラー化が飛躍的に進み、激しい社会変化で大きなリスクを抱えにくいベンチャーなど“小さく・若い”存在の優位性が向上するという。

 今後、世界的にますますAIが導入される中、ビジネスにおいて最も勝機があるのは日本だという。世界で唯一、日本だけが国の総意としてAI導入に積極的にチャレンジできるからだ。欧米などの先進国では、サービス産業や工場労働といったローカルな産業は、じつは人手不足に陥っているわけではない。そこに移民がなだれ込んでいるので、仕事の奪い合いになっている。そのため、人々が「AIに仕事を奪われるかもしれない」という警戒心が強い。国を挙げてAIの導入を推進しにくい状況になっているという。

 一方で、日本では雇用の8割がローカルな産業を中心とした経済圏で、本当に深刻な人手不足の状況にある。そのため、国は誰に遠慮することもなく、AIの導入を推進し、生産性を高めていくことができる。ちなみに、発展途上国では、人を使ったほうが安いし、新興国でもまだ自動化に対するニーズはそこまで高くない、という。

「稼ぐ」構造が変わることと、AIを推進しやすいという両面から、日本の経営が、変化の時代の鍵を握ることになるかもしれない。

 では、個人レベルの仕事については、どのように変わるのだろうか。『文系が20年後も生き残るためにいますべきこと』(岩崎日出俊/イースト・プレス)は、AI時代の20年後をただ待つだけでは、AIに仕事を奪われてしまうと警鐘を鳴らしている。本書によると、日本では49%の人たちが、人工知能やロボットに仕事を代替されてしまう可能性が高い。本書では、代替可能性が高い100種の職業が挙げられているが、この中で「一般事務員」「医療事務員」「人事係事務員」など「事務員」とつく職業が15種に及ぶ。販売や接客の職種も目立つ。そして、文部科学省のデータによると、文学部出身者の73%がこれらの職種についている。工学部出身者は18%にすぎない。これらの数字から、文系出身者のほうが職を失うリスクが高いといえそうだ。しかし、文系以外の出身者も、職を失うリスクはゼロではない。

 本書は、20年後も生き残るために、「クリティカル・シンキング」の習得を勧めている。収集した情報を丸飲みするのではなく、一度は自分の頭で批判し、論理的・科学的に正しいか考えてみる。

 20年後の世界を予測するとき、クリティカル・シンキングを用いると、次のようになる。

(1)19世紀、産業革命がもたらした機械化によって、人の雇用が奪われ、社会構造が変化した

(2)20世紀、コンピューターの登場によって、さまざまなものが自動化され、より多くの仕事が自動化された

(3)現在、新しいテクノロジー「人工知能」の進化が目覚ましい

 ↓

(4)未来において、人工知能が人の仕事を奪うかもしれない(すでに奪いつつあるが…)

 ある程度、説得力のある未来を導き出すことができた。では、クリティカル・シンキングを用いて、自己分析を行うと、どうなるか。

(1)3年前、まったく英語を話すことができなかった

(2)1年前も、まったく英語を話すことができなかった

(3)今も、英語を話すことができない

 ↓

(4)だから、これからも英語を話すことができない

 なんともネガティブな結果になってしまったが、残念ながら説得力はある。しかし、これでは20年後を生き抜くのは難しい。本書は、これからの変化が激しい時代を生き残るために必要なものは、「柔軟性」と「強い意思」だと述べる。

 さきほどの自己分析の(4)を、次のように変えてみる。

(4)だけど、これから英語を話せるようになりたい

「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である」というのは、ビジネスの世界でよく引用される言葉。文系理系や年齢にかかわらず、「変わろう」と強く思う人が、20年後に活躍しているのかもしれない。

 最後に、個人レベルの生活においては、どのように変化するのだろうか。これまでの「競争」は限られたパイの奪い合いだったが、その競争の質が変わる、と考えるのは、『超AI時代の生存戦略 ~シンギュラリティ<2040年代>に備える34のリスト』(落合 陽一/大和書房)。本書によると、今後、AIによって社会構造がさらに多様化し、人々が違う方向で仕事を推し進めても生産性を保てるようになる。そうなると、パイの奪い合いは必要なく、パイをどうやって広げようか、と考えるようになる。人々が人類の価値の拡張を考える中で、多くの仕事は、ビジネスモデルを考え出す起業家でない限り、誰かが決めたフレームワークに乗って行うことがほとんどになるだろうと、本書は推測する。

 人々にとって、自分の仕事を「淡々と」やることが重要になる。「自分は自分の道を行く」が当たり前の社会になるのだ。今、「他人と違うことをしている」ことが仕事のモチベーションになっているなら、将来、今の状態を維持するのは難しいかもしれない。

 そのため、自分のオリジナリティや個性を発揮するのは仕事ではなく、趣味や遊びが主になっていくかもしれない。フェチシズムにも繋がる趣味や遊びは、非合理的なモチベーションから始まる。そのため、機械よりもオリジナリティが高いことができる。

 機械が労働を肩代わりするようになると、可処分時間が多く生まれる。未来を快適に生きるために、今から趣味や遊びを見つけておくことが大切なようだ。

文=ルートつつみ



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