「彼が描く20コマには、小説家が一生かけて描くよりも多くのアイデアが詰まっている」―グラフィック・ノヴェルの旗手が描く鮮烈な6つの物語

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/12

グラフィック・ノヴェリストのエイドリアン・トミネによる最新作『キリング・アンド・ダイング』が、2017年5月25日(木)に発売された。

同書の著者、トミネは日本でも文芸誌『IN THE CITY』の表紙を手掛ける人気アーティスト。レイモンド・カーヴァーの「ペシミズム」、ミランダ・ジュライの「孤独感」、ウディ・アレンの「ロマンティシズム」、そしてジム・ジャームッシュの「オフ・ビート感」を併せ持つアメリカン・グラフィック・ノヴェルの旗手と言われている。そんな著者による最新オールカラー短篇集が誕生した。

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突如アートに目覚める植木職人の理想と現実、ポルノ女優そっくりの顔で悩む娘の告白、口下手なのにスタンダップ・コメディアンを目指す少女とその父の葛藤…。6通りのビジュアル・語り口で繊細かつ鮮烈に描かれた、6つの人生の物語が静かに胸に突き刺さる。同書は「アート・ブック×コミック×純文学」を達成した最新グラフィック・ノヴェル作品集だ。

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<収録作>
「『ホーティスカルプチャー』として知られるアートの短い歴史」
「アンバー・スウィート」
「それゆけアウルズ」
「日本から戻ってみたけれど…」
「キリング・アンド・ダイング」
「侵入者たち」

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純文学寄りの漫画家として、ひそかに願う―「そういう本」を創りたい、と。そういう本とは、普段漫画を読まない、文学好きの人にも届く本。事前に説明や釈明をしなくても、作品の姿勢や人間性、複雑さを通して、雄弁に語る本のことだ。エイドリアン・トミネの『キリング・アンド・ダイング』はついに登場した「そういう本」なのかもしれない。僕はこの本に度肝を抜かれ、勇気づけられているクリス・ウェア(漫画家)解説より

彼が描く20コマには、小説家が一生かけて描くよりも多くのアイデアが詰まっているゼイディー・スミス(作家)

「現代で最も才能あるグラフィック・ノヴェリストの1人」と評されるエイドリアン・トミネが描く世界をじっくりと堪能してほしい。

エイドリアン・トミネ
1974年カリフォルニア生まれ。現在ブルックリン在住の日系4世。カリフォルニア大学バークレー校では英文学を専攻。コミック作家として『オプティック・ナーヴ』シリーズを描き続けるかたわら、イラストレーター、アーティストとしても活躍。インディーバンドのアルバムジャケットから『ニューヨーカー』誌の表紙まで数多く手掛ける。著書に『32 Stories』『スリープウォーク』『サマーブロンド』などがある。

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