「保障がない職業」と言われる人たちの将来について

エンタメ

公開日:2017/6/22


 お笑いコンビ『ジャリズム』の一人であったオモロー山下さん(48)が6月13日、「芸人を引退します」と自身のツイッターで発表した。

皆さまにご報告です。私オモロー山下は6/13を持ちまして、芸人を辞めることになりました。今まで僕を応援してくださった皆さま、並びに携わってくださったすべての方々に感謝いたします。25年間ありがとうございました

 ……とのこと。スポニチの取材によると、今後はなんと! 女性週刊誌の記者になるんだとか。上記のツイッター原稿だけじゃあ、さすがにオモローさんの文章力をはかり知ることはできないのだが、とりあえず開くべき漢字はほぼ平仮名になっているし、句読点もしっかりしていてなかなかに読みやすい(←上から目線w)。これまで芸能界で培ってきた人脈と情報網と、肌に染みついたギョーカイの空気感をフルに駆使すれば立派な芸能記者になれるのではなかろうか。50歳近くの転職とはいえ、勝算は充分にある。私ら初老世代にとってもじつに励みになる、とてもいい話ではないか。

 一般的に、お笑い芸人を含む芸能人は「将来の保障がない職業」だとよく言われる。そして、そんな彼ら彼女らの“引退後”は、「あのヒトは今…」的な、どちらかとすればキワモノ扱いで、たまーに面白おかしく紹介されるのが関の山だったりする。一時期は華々しい場で目映いスポットを浴びた者が、極端には「今ではのたれ死に同然の日々を送っている」……みたいなパターンが世間体にはもっともオイシイのだから、それはそれでしょうがない。

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 だが、人間ってヤツは、そう簡単にのたれ死ぬほど弱くもなく、よほどのぐうたらでもないかぎりなんらかの職にありついて、しぶとく生き存えているのである。

 たとえば、「将来の保障がない職業」として芸能人と並び、代表格とされているのがプロ野球選手だ。

 そりゃあ、あのキヨハラや、その暴露話で小金を稼いだ前科持ちのヒゲオヤジ・野村貴仁サンのようにダイナミックでスキャンダラスな転落のドラマを演じてくださった方々もいる。が、一方で「こーいうケースもあるんだ…」と、思わず唸ってしまう劇的な転身を果たした野球選手も実在する。

 元阪神タイガースの投手・奥村武博さん(38)は、県立土岐商高から97年のドラフト6位で阪神に入団するも、2001年に戦力外通告を受け現役引退。02年に阪神打撃投手に就くも1年で解雇。04年から、なんと! 公認会計士を目指し、なんとなんと!! 13年に合格。14年から優成監査法人に勤務し、日本公認会計士協会準会員会代表幹事として現在に至るらしい(右投げ右打ち)。

東スポの取材によると、

高校時代に日商簿記2級に合格していたので、その資格を生かす仕事がないかと資格辞典で職を探しました。その時に公認会計士が目に留まったんです。偶然にも06年から受験資格が緩和され、私のような高卒でも受けられると。それで、バイトをしながら夜間学校に通い始めることにしたのです

 とは言え、公認会計士は日本で最高峰の難関国家資格。口で言うほど簡単には合格できないのは当たり前。6度目の受験に失敗し、「もう自分には無理」と心が折れかけたとき、妻から「プロ野球も公認会計士も中途半端で逃げ出したら、この先もいろいろなことに言い訳をし続ける人生になる。今、あなたに必要なのは何かを成し遂げたという自信。だから絶対にあきらめたらダメ」と背中を押され、挑戦から苦節9年、努力が報われたのだという。

 むちゃくちゃいい話ではないか。フリーランスの私でなくとも、間違いなくなんらかの為になる貴重なエピソードだと言えよう。他人のアラ探しばっかしてるような出所の怪しい記事だけじゃなく、こういうポジティブな驚きを与えてくれる“実話”を、もっともっとネット上で読んでみたいと願うのは、ネットニュースパトローラー(略:NNP)である私だけだろうか?

文=citrus ネットニュースパトローラー 山田ゴメス