苦悩は微塵も見せず、明るく笑ってパンツを脱ぐ――“ AVの帝王”村西とおるの生への希望を謳う語録集がしみる!

エンタメ

2017/7/22

『村西とおる語録集 どんな失敗の中にも希望はあるのでございます』(パルコ出版)

ビニ本を全国に展開し、真珠湾上空でSEXをし、横浜ベイブリッジを駅弁で走り、前科7犯、巨額の借金を背負った。嘲笑ってください、愚か者と。ドン・キホーテでしか生きられない人生でございます。

 これまで3000本のAVを制作し、“顔面シャワー”や“駅弁”の産みの親としても知られる村西とおる。前代未聞の挑戦と社会への挑発を続けながら、激動の半生を送ってきたAVの帝王が、死の絶望を回避し、生への希望を謳う人生語録集『村西とおる語録集 どんな失敗の中にも希望はあるのでございます』(パルコ出版)を発表した。

 過激な言動が注目されがちな村西監督だが、本書を読むと分かるのは、その裏側には多大な苦労や苦悩が隠されているということ。そして、死を意識するような絶望的な状況を何度経験しても、そのたびに立ち直り、明るく前向きに生きてきたということだ。

どれほどの地獄やドロドロした世界を見て呻吟してきたか、そんなものは微塵も見せず明るく笑って、スッとパンツを脱ぐ。

 という言葉などは、激変を続けるAV業界を生き抜いてきた、昭和のAV監督ならではのものだろう。

 そして「自らの欲望ではなく、相手の欲望を優先する」という言葉も本書には登場するように、村西とおるは人を喜ばせることで、自らも生きる喜びを得てきた人間でもある。次の言葉は、「利他の精神」と「自らの幸福」が実は深くつながっているということを、AV監督ならではの視点から説いた名文と言えるだろう。

自分だけよければいい、人間の幸福は誰だってそうだ、と言うかもしれませんが、違います。自慰の快感と肉体関係のソレを比べてみれば一目瞭然です。自分だけ気持ちいい、なんてたかが知れていることが分かります。相手の喜びを自分の喜びにすることができるエクスタシーには、とても敵わないですから。

 本書には、いま生きることに苦労している人、苦悩を抱えながら人生を生き抜いてきた人には、胸に突き刺さる言葉がたくさん詰まっている。一方で、

遠回りして初めて、本なら2行で書いてあるような真実が、沁みる。そういうもんなんです。

 という言葉にもあるように、本書に書かれた前向きな生き方は、失敗を恐れず行動を続けることでしか身につけられないものでもある。だから村西とおるは、次のような言葉で、私たちの背中を押してくれるのだ。

人間は慣れるのです。どんな逆境であれ慣れていくことができるのです。(中略)だから狂わなくてすむし、希望が持てる。俺には希望なんて何もない――ご自身がいくらそう思っても希望はあるんです。希望が向こうでパックリお口を開けて待っているのでございます。そこに向かわないのでどうするのですか?

文=古澤誠一郎

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