大事なのは「子ども力」! ラッキィ池田×ヒャダインの「ヒットの発想」

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更新日:2017/9/22

『「思わず見ちゃう」のつくりかた―心をつかむ17の「子ども力」―』(新潮社)

 前提や建前といった、ついつい大人の発想をしてしまって毎日ドンヨリ……そんな自分の殻を破る「子ども力」を取り戻して、ワクワクドキドキな日常を楽しむことを全力でお勧めするラッキィ池田さんの著書『「思わず見ちゃう」のつくりかた―心をつかむ17の「子ども力」―』(新潮社)。この刊行を記念して、ラッキィさんが「いま一番刺激を受けている人」という音楽クリエイターのヒャダインさんを迎え、「ヒットの発想」と題したトークショーが9月13日、神楽坂ラカグで行われました。

 頭に象のジョウロを載せたラッキィさんが……と思いきや、なぜか『笑っていいとも!』のテーマソング「ウキウキWATCHING」が流れ、ダンサーとともに現れたのは謎のサングラス男! 自らを「ラモリ」と名乗り、「今日は暑かったねぇ」「そうですね!」という懐かしいやり取りでトークショーはスタート。

 ゲストのヒャダインさんを呼び入れ、テレフォンショッキング的なコーナーへ突入すると、ヒャダインさんはまじまじと顔を見ながら「顔も、肌質とかも似てて、“タモみ”がすごい!」とタモリさんに驚くほどそっくりなラモリさん、ラッキィさんからの「大学時代はどんな学生でしたか?」というメッセージとともに、ヒャダインさんと同じく京都大学出身の作家、森見登美彦さんの小説『太陽の塔』(森見登美彦/新潮社)を手渡していました。ちなみにヒャダインさん、大学時代は友人が1人しかおらず、ツタヤでアルバイトばかりしていたそうです。

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 そのラモリさんが裏へ呼びに行き(?)、トレードマークの黄色い象のジョウロを頭に載せたラッキィ池田さんが登場。様々な仕事でご一緒しているというヒャダインさんを、子ども心があって、自分とテンションが合う方と絶賛。なかなかテンションが合う人が少ないというラッキィさんですが、長年の友人の関根勤さんとは、時折関根さんの過激さにおいてけぼりをくらうこともあるそうで、「面白いよ」と関根さんから勧められた『吐きたいほど愛してる。』(新堂冬樹/新潮社)は最初の20ページでギブアップされたんだとか。なんとその本をプレゼントされたヒャダインさん、冒頭を朗読したところ肌に合わなかったようでした……確かに新堂さんの小説は、読む人を選ぶところありますね……(苦笑)。

 ちなみにお2人の共通の愛読書は、小学生に絶大な人気を誇る不条理ギャグマンガ「でんぢゃらすじーさん』シリーズ(曽山一寿/小学館)とのこと。さすが「子ども力」全開だけあります。全巻揃えているというラッキィさんは、奥様に「捨てなさい!」と叱られているんだそうです(笑)。

 そして話は今日の本題である「ヒットの発想」へ。ラッキィさんが「ヒットするには何が必要?」と質問すると、ヒャダインさんは「愚直に行くしかないですね。狙っても外すけど、ある程度は狙っていかないといけない。でも自分一人だけではいかんともしがたい」と回答。ラッキィさんも「新し過ぎてもダメで、なんか聞いたことあるとか見たことがある、というようなことがないとダメですね。そして楽しむことです!」とお答えになっていました。

 また『「思わず見ちゃう」のつくりかた』にも書かれている、子どもたちが会社を作り、資金調達をして自由な発想で「売れる」と思うモノを作り、販売して利益を得るセミナー「キッズ・マネー・ステーション」で、自分で折った折り紙を販売、2年連続で完売したというエピソードが披露され、「大人はそんなものが商売として成り立つとは思ってないんですよね」というラッキィさんに、ヒャダインさんは「なんでも最初はみんな“無理だ”って言うんですよね。でもそれが成功すると、“このくらい自分だって思いつける”とか言うんですよ」と発言。作曲では「こうなったら楽しい、を考えて作っている」のだそうです。ラッキィさんはそれを聞き、「子ども力ですね! 子どもって、横断歩道の白いところだけ踏んで渡るとかやるけど、それは誰かに見られているとか考えてないから。人から評価されることばかり考えると、ワクワクドキドキは少なくなる」と、子ども力のスゴさを伝道ていました。

 ちなみにラッキィさん、この日はぬいぐるみが本人に代わって旅をするというコンセプトの「ウナギトラベル」のツアーがあり、ずっとぬいぐるみと一緒に都内を観光していたそうですが、「こんな格好して、ぬいぐるみを抱いていても、結構周りの人は無視してましたよ。だから意外と恥ずかしくないんですよ!」と笑い、ヒャダインさんも「意外と周りってサバサバしてるんですよね。そうすると、自分って自意識過剰だったなと思う」と同調。「だからね、わりと思い切ったことって明日から可能なんですよ!」とラッキィさんが言うと、ヒャダインさんは「人生一度きりですからね!」と、楽しむことを全力でお勧めするお2人でした。

 さらにはヒャダインさんが作曲、ラッキィさんが振付を担当したBOYS AND MEN(通称“ボイメン”)の「帆を上げろ!」が流され、会場を巻き込んだダンスが始まって、大きな声を出して踊り出すと……あら不思議、いつの間にか皆さん笑顔になっていました。こんなことをしたら恥ずかしいんじゃないか、どう思われてしまうだろう……という大人フィルターを外し、子どもだった頃を思い出して、思いっきり楽しんでしまう「子ども力」のパワーをまざまざと見せつけられました。

 そして最後はラッキィさんが自分で折ったという「恐竜の折り紙」が、会場の皆さんにプレゼントされました。ラッキィさんの「もし捨てる場合は、神楽坂から離れたところにしてくださいね!」という言葉に、会場は笑いに包まれていました。

撮影=広瀬達郎(新潮社)
取材・文=成田全(ナリタタモツ)