『それ、なんで流行ってるの?』… ヒット商品から学ぶヒットの方程式

ライフスタイル

2018/1/23

 ヒット商品や流行事象から学ぶ、ヒットの方程式を紹介した『それ、なんで流行ってるの? 隠れたニーズを見つけるインサイト思考』が2017年12月22日(金)に発売された。

 昨今はモノがあふれ、消費者心理が複雑化。昔と比べて商品やサービスが売れなくなり、広告の効きが悪くなっている。広告も商品開発も、過激な表現や新奇性に走ったコピーライティングで人目をひこうとしがち。しかし重要なのは、消費者心理のツボを見つけて、そのニーズに沿った提案や発信をしていくこと。売り手側・発信側の「売りたいもの・伝えたいこと」と、世間の「欲しいもの・気になっていたこと」が一致すればヒット商品や流行事象に繋がるといえる。

 同書は、「カープ女子」「君の名は。」『うんこ漢字ドリル』「ハンドスピナー」がなぜ流行したのかを解説。消費者不在のものづくりに陥らずに、世間の「そう、それが欲しかった!」という隠れたニーズを引き出す方法を掲載している。

■売れる商品には「実は…」が不可欠
 SNSムラ社会で生きている彼らが“忙しい自慢”“徹夜自慢”をしたいとき、ツイッターにテキストでそのまま書くとウザがられる。そこで彼らは、代替手段としてレッドブルの写真を「レッドブルなう」という言葉とともにインスタグラムに投稿。これなら間接的な自慢をする手法として嫌味が薄れ、「いいね!」も押されやすい。これを聞くと「なるほど」と腹落ちする人も多いのではないだろうか。そして、多くの人がこのことを誰かに伝えたくなるはず。

 インサイトをついている商品はみな、魅力的な「実は…」を持っていることが多い。豆知識、ウンチクとも言えるだろう。魅力的な豆知識には伝達力があり、広告費を払うことなく、消費者が自発的に宣伝してくれる。こうして伝達されていく商品は、当然売れる確率が高い。潜在ニーズが顕在化された瞬間、人はそれをまだそれに気づいていない他の人に伝えたくなるものだ。

■「自分ごと化」させる視点こそインサイトである
 今まで気づかなかった嗜好にハッと気づかせる(インサイトを見出す)ことで、商品との強い結びつきを新しく発見。「消費者との新しい架け橋を作る」のが、インサイトの効果といえる。これが実現できれば、ターゲット(消費者)は消費へと動く。

 だが、どんなにユニークな表現やコピーが載っている広告でも、見た人に「自分とは無関係」と思われたらアウト。その広告は消費者に絶対に刺さらない。そういう意味では、相手に「自分ごと化」させる視座を与えるのがインサイトの力。一例として、「環境にやさしい」というキャッチコピーがある。「環境にやさしく」あることに異論のある人はあまりいないだろう。

 しかし、全地球的視点で環境問題を「自分ごと化」できる人は、そう多くはない。多くの人は環境に優しい商品よりも、日々1円でも安い商品を買い求める。家計をあずかる主婦からすれば、単なるイメージとして「環境にやさしい」と謳う商品よりは、目に見えて「財布にやさしい」商品に手が伸びるというわけだ。

 たとえば、「冷房の設定温度を上げれば使用電力が減るから、地球温暖化を止められる」というより、「設定温度を△℃上げると、年間の電気代が◯円節約される」。あるいは「自然素材だから環境負荷が低い」というよりも、「自然素材だから肌荒れしにくい」と言われた方が「自分ごと化」することができるということ。もちろん、加えて地球環境に良いとなおさら良いと誰もが思うが、“一番のポイントはそこではない”という意味。

「自分ごと化」は消費者を動かす。広告の役割は「自分ごと化」を促せるかどうかに集約されているといってもいいのかもしれない。広告に限らず、すべての商品・サービスに自分ごと化は必要。書籍、ドラマ、電化製品… 自分に関係あると思わなければ人は買うはずもなく、「自分ごと化」させるためにはインサイトが最も重要となる。

 広告・マーケティング業界で重要視される「インサイト」は人を動かそうとする際に確実に押さえておかなければならないポイント。ヒット商品からヒットの方程式を学んでみてはいかがだろうか?

原田曜平(はらだ・ようへい)
1977年東京生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。国内外の若者研究及びマーケティングを続けている。2003年JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『さとり世代 盗んだバイクで走り出さない若者たち』、『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』、『パリピ経済 パーティーピープルが市場を動かす』など多数。

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