今や声優は若者の憧れの職業となり、活躍の幅はかつてとは比較にならないほど広がった。

エンタメ

2019/11/10

『声優グランプリ12月号』(著者/発行:主婦の友インフォス)

 アニメのアフレコやナレーションだけじゃない。ラジオのパーソナリティーにイベント出演、CDリリースに大会場でのライブなど、声優は声に関わるあらゆる仕事をこなすことができる最高のエンターテイナーである。今や人気職業のひとつとしてすっかり定着した声優だが、かつての声優を取り巻く環境は今とはまるで違っていたことをご存じだろうか。

テレビや舞台より軽んじられていた声優という職業

 アニメや外画の吹き替え、テレビ番組やCMナレーションなど、自分の声を使って何かを表現する声優は、いわば声のプロフェッショナルであり、近年はなりたい職業の上位にたびたびランクインするなど、人気職業のひとつとなっている。しかしながら、同じ役者でも舞台やドラマなど顔出しの仕事をメインにこなす人たちとは異なり、表に出ない職業ということもあって、かつては知名度も低く、そればかりか「口だけで演技をするとはけしからん」「演技は体全体でやるもの。声だけでできるはずがない」といった蔑視の声は当たり前、声優と呼ばれることを嫌う役者も決して珍しくなかった。演技論が進んだ現在ではそういった声はほとんど聞かれなくなったものの、テレビや映画、舞台といった“花形”に比べて、長らく格下と考えられていたのである。

 その後、時代が進むにつれて声優という職業に対して理解が進み、声優を生業の中心とする人も増えていった。1980年代には声優専門プロダクションやそれに付随する養成所の設立が相次ぎ、声の専門職としての色合いが濃くなっていく。

第三次声優ブームで声優を取り巻く環境が一変

 声優が広く一般にも認知されるようになったのは2000年代に入ってからのことだが、そのきっかけは1990年代中頃までに起こったとされる第三次声優ブームだ。社会現象を巻き起こした『美少女戦士セーラームーン』を筆頭に、良質のアニメ作品が次々出現するなか、キャラクターの声を当てている声優にもスポットライトが当たりはじめたこの時代。ラジオ番組のパーソナリティー、CDリリースやライブツアーなど、その仕事は急速にマルチ化していく。ちなみに1970年代後半に起こった第二次声優ブームの頃にも似たような現象が見られたものの、規模やブームの長さを考えると、2000年代以降の声優の仕事の基礎は、やはりこの時代に作られたと言っても差し支えないだろう。

 アイドル的な人気を獲得する声優が次々に出現したのは、声優専門誌の功績が大きい。その草分けとも言えるのが1994年創刊の『声優グランプリ』だ。それまでほとんど見かけることがなかった声優のグラビアやインタビューなど、声優のパーソナルに特化した記事作りはその目新しさも手伝って、創刊号は即完売したという。その後、声優ブームは終わるどころか加速を続けていき、同誌も季刊、隔月刊と刊行ペースをアップ。さらに2000年10月号からは月刊化を果たした。昨今相次いで声優専門誌が立ち上がるなか、老舗ならではの奥深い記事作りで、声優ファンから変わらず支持されており、創刊以来業界トップの座を維持し続けている。また、声優を目指すきっかけが声優グランプリだったと語る人気若手声優も珍しくない。

 そんな同誌も11月9日(土)に発売された12月号で創刊25周年を迎えた。これを記念して『声優グランプリ12月号』には多数の人気声優からのお祝いコメントに加え、「声グラコンプリートガイド」(オールカラー36ページ)が付属する。過去の全表紙に加え、「LOVE MEGANE」「へあちぇん!」といった人気企画の振り返り記事、レアな店頭告知用ポスター大公開など、同誌25周年の歩みを貴重な画像の数々で振り返る豪華付録となっている。また、創刊の1994年から2019年までのエンタメ業界年表も用意されているので、第三次声優ブーム以降の声優業界全体を振り返る意味でも資料的価値は十分。新旧問わず、声優ファンなら絶対に手に入れておきたい貴重な一冊だ。

「声グラコンプリートガイド」表紙

「声グラコンプリートガイド」1ページ目