子どもたちはなぜ「スマホを捨てたい」と言うのか? AIに支配されず生き抜くためのユニークな文明論

暮らし

2020/6/23

『スマホを捨てたい子どもたち:野生に学ぶ「未知の時代」の生き方』(山極寿一/ポプラ社)

 ゴリラ研究の世界的権威が「未知の時代」における人と人とのつながり方を語った『スマホを捨てたい子どもたち 野生に学ぶ「未知の時代」の生き方』(ポプラ社)が、2020年6月8日(月)に発売された。

 最近の子どもたちは生まれた時からインターネットがあり、スマホを日常的に使いながら育っている。しかし、彼らはゲームや仲間との会話を楽しんでいるように見えても、実際はスマホを持て余しつつあるのかもしれない──。京都大学総長であり、霊長類学・人類学者としても知られる著者の山極寿一氏は、「前書き」でそう問題提起する。

 本書の中心的なテーマとなっているのは、「人間にとってつながりとは何か」という疑問だ。しかし現代人の姿だけを眺めていても、人間的なつながりははっきりと見えてこない。そこで山極は“ゴリラの国”で暮らした体験をもとに、人間の性質について深い考察を繰り広げていく。

 子どもたちはなぜ、スマホで人とつながることに漠然とした不安を感じているのか。また最近のテクノロジーによって、人間はどんな風に変化しているのか。およそ200万年前の人類の歴史やゴリラ研究の見地から現代社会を眺めることで、さまざまな発見を得ることができるのだ。

スマホを捨てたい子どもたち/目次より

 山極氏はこれまでにもオリジナリティあふれる文明論を展開し、大きな話題を呼んできた。2018年に刊行された『ゴリラからの警告「人間社会、ここがおかしい」』では「個」が強調される風潮の中、信頼できる家族・コミュニティーを作り上げるための道のりを模索。霊長類学者ならではの議論に、ネット上では「ゴリラとジャングルから現在・過去・未来を考える、そんな読後感」「現代のエネルギー政策を“サルの脳”と分析する辺りはとくに痛快。ゴリラからの警告は傾聴に値すると思う」「人間はこれからどうしたらいいのか、非常に考えさせられる一冊でした」といった感想が上がっていた。

 人間が本来もっている「生物としての人間らしさ」とは一体何なのか。スマホの代わりに本書を手に取って、じっくりと考えてみてはいかがだろう。

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