【林直孝×志倉千代丸】 科学アドベンチャーシリーズ最新作『ロボティクス・ノーツ』インタビュー第1弾!!
更新日:2013/8/13
「痛い」キャラクターの作り方
――今作のキャラクターの魅力はどういうところにあるでしょうか?
林 今までの科学アドベンチャーシリーズって主人公がぶっとんでいるという印象が非常に強いのですけれど、今作の主人公は、そこまでぶっとんでいるという感じではなくて、むしろ、ヒロインの方がぶっとんだものになりましたね。
今回の場合はフラウというキャラクターがシリーズのヒロインたちの中でも一番「痛い」キャラクターです。前作までもいわゆるネットスラングを使うキャラクターはいましたが、書いているうちにエスカレートしてしまって(笑)。使用するネタも過去二作に負けないものを投入したら、とてもヤバいキャラクターになりましたね。引きこもりなのでアクティブなキャラではないんですが、しゃべりだすと見ていて痛々しいというか見てられないキャラになってしまって(笑)。
神代 フラウ(こうじろ ふらう)
根暗で口も性格も悪いヒキコモリのオタク。ネット上だけでなく現実でも死語となったネットスラングを多用する。2000万人以上のユーザーがいるロボット格闘ゲーム「ガンヴァレル キルバラッドON―LINE」のプログラムを担当したプログラマー。
――主人公よりヒロインを「痛い」キャラクターに設定したのには、何か理由があったのでしょうか?
林 例えば、『シュタインズ・ゲート』の主人公の「痛さ」って自己主張が強いところにあったと思うんですよ。しかし、今作の主人公の場合、格闘ゲームオタクなんですよね。僕の中での印象ですが、格ゲーをプロでやっている人たちってストイックなイメージがありまして、その部分を突き詰めていった結果、自己主張が激しくてうるさいといった部分とは違った「痛さ」を出していこうと。だから、今回はちょっと落ち着かせて一つの方向性にのみ特化したキャラにしたいと思い、代わりにヒロインをぶっ飛んだものにしようと思いました。
――そのあたりについては、志倉さんとも協力して相談しあって決めていったということでしょうか?
志倉 僕のプロットを林が変更する形で進めた部分もありますね。林に「ヒロインもう一人どこいったの?」って言いましたし。
――最初の段階ではヒロインはもう一人いたということですか?
志倉 そうですね。気がついたら二人のキャラクターの個性が一人に集約されていて、「一人少ないじゃん!」って(笑)。
主人公のことについて言えば、過去二作がそれぞれ別の意味の「痛さ」を抱えた主人公たちだったけれど、今作のプレイヤーキャラの場合はそこをどうするのかで相当悩みました。ただ、スタートの時点で主人公を好きになれないかもしれない、という点においては共通しているとおもいます。
――今作で主人公は「無気力でいつもヘラヘラしている」ということでしたが。
志倉 第一章でヘラヘラしているだけじゃない芯のあるところも見えるんですけど、なんかいちいちちムカつくキャラクターなんです。
一方、フラウは、あの年齢でプログラマーって相当濃いネットの世界にいるんでしょうけど、僕が最初に妄想していた以上に痛さが増していて、見ているとだんだん可愛くなってきましたね。こんな女子リアルでいたら面白いだろうなって。
林 フラウは書いているうちに変態発言をバンバンするようになって(笑)キャラがたってきてからは自然にそういうのが出てくるようになったというか……。
志倉 林は変態を書くのが得意なんだよね(笑)。
林 腐女子の方のツイートを調べて参考にしたりもしました。あとは社内にいる腐女子の方に話を聞いてみたりしました。主人公はウメハラさんといった格ゲーのプロの方たちのインタビューを読んだりして、格ゲーマーの立ち位置みたいなものを参考にしました。
――今回のゲームには収録されなかったエピソードで印象に残っているもの等ありますか?
林 作品の中にHUGというパワーアシストスーツが出てくるのですが、それを装着した人の格闘大会に出場するという展開はどうだろうと思って書いたのですけれど、社長からダメって言われまして(笑)。
志倉 しかも、書いてからのボツでしたからね(笑)。
林 今回はホビーロボットから巨大ロボへというテーマがやはり重要だったので、そこでテーマがぶれてしまわないようにするために戻しましたね。ただ、この世界観ならそんな格闘技イベントがあってもいいとは思うので、それはそれで別の機会に書いてもいいかなと。
――もしかしたら、今後ファンディスクやドラマCDでそういう部分が見られるかもしれない?
林 まだ分からないですけどね(笑)
続く第二弾では、林直孝さん自身のことについて紹介。林さんがシナリオライターになったきっかけや、影響を受けた小説などについて語っていただきます!
アニメイトTVでの志倉氏インタビューもチェック!
『ROBOTICS;NOTES』
(ロボティクス・ノーツ)
世界を救うのはヒーローじゃない―――オタクだ。
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2012年6月28日発売予定
7,140円(税込)
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