キーワードは“ゆるキャラ”化? ドラマ『わたナギ』『おじカワ』に共通する“癒しのおじさん”旋風を考察!

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更新日:2020/9/17

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『家政夫のナギサさん』(四ツ原フリコ/ソルマーレ編集部)/『おじさんはカワイイものがお好き。』(ツトム/フレックスコミックス)

 今、“癒し系おじさん”がアツい! その火付け役となったのは、ドラマ『私の家政夫ナギサさん』のスーパー家政夫・ナギサさん(大森南朋)と、ドラマ『おじさんはカワイイものがお好き。』でイケオジなのにかわいいものが大好きだというギャップを持つ小路さん(眞島秀和)の二人では? 本記事では、それぞれにどんな共通点があったのか、考察していきます。

 まず、『私の家政夫ナギサさん』では、ナギサさんは男性でありながらハウスキーパーという職業を選び、キャリアウーマンのメイ(多部未華子)は女性でありながら家事が一切できない。これは、男なら外でバリバリ仕事をする、また家事を完璧にできてこそ女性として1人前、という前時代的な“男性(女性)としてあるべき姿を無視”したキャラクター設定ともいえます。

 また、『おじさんはカワイイものがお好き。』は、小路は自分と自分の“推し”とのギャップがありすぎることを理由に、誰にも知られまいと気を張って暮らしていましたが、オタク友達であるケンタ(今井翼)との出会いをきっかけに、エピソードを通して「年齢・性別関係なく好きなものは好きでいていい」「他人の好きを否定しない」といったメッセージを一貫して発するようになりました。

 この点において、どちらにも“多様性を認めていこう”という主題がありそうです。

 そして、その主題を表現するのに最適な人物像、それが“おじさん”です。ドラマ放送日である火曜日、木曜日の夜、仕事からへとへとに疲れて帰って来た女性たちの心に、酸いも甘いも嚙み分けた包容力抜群のおじさんはスッと入り込んだというわけですね。

 しかし、ただおじさんであればいいというわけではありません。ナギサさんと小路さんに共通する性質は、自己主張が控え目で常に謙虚であること。加えて、清潔感があり、性的な“ギラギラ感”はなく、チャーミングな笑顔を持っていることも挙げられます。

 そんな“イケオジ”の称号を欲しいままにしているナギサさんは、メイに告白をする際、もじもじしながらも「私もメイさんが好きです!」と大きな声で伝え、一方の小路さんも自己嫌悪に陥るケンタに対し「嫌いになったりしない!」「俺はケンタくんが好きだから!」とまっすぐな目で告白(?)します。これまで自己主張が控え目だったおじさんたちが熱意あるストレートな告白をするのですから、世の女性たちが絆されてしまうのにも納得がいきます。

 思い返せば、“おじさんブーム”と呼ばれる旋風が巻き起こった背景には、ドラマ『バイプレイヤーズ』や『おっさんずラブ』、『メゾン・ド・ポリス』など、密かに脈々と受け継がれる系譜があります。『私の家政夫ナギサさん』『おじさんはカワイイものがお好き。』は、これらの“癒し成分”がより増大し、ブレークしたものと捉えることもできるでしょう。

 9月4日に放送された情報番組『ノンストップ!』では、「“非モテ”おじさんブーム到来!好かれるおじさんの条件」というテーマで、タクシー会社「三和交通」のおじさん社員たちがTikTokでダンスをする姿がかわいいと取り上げられていました。ストレス社会において、先に挙げた“イケオジ”はもはや、ある意味“ゆるキャラ”のような立ち位置になっているのかもしれません。

この記事で紹介した書籍ほか

家政夫のナギサさん 1 (オヤジズム)

著:
出版社:
ソルマーレ編集部
発売日:

おじさんはカワイイものがお好き。(1) (ポラリスCOMICS)

著:
出版社:
フレックスコミックス
発売日:
ISBN:
9784866750125