阿部サダヲ、車中泊仕様にしたのに、家族が気乗りせず

ぱいかじ南海作戦

2012/7/8

 仕事を失い、妻にも去られ、すべてを失くした男が南の島にやってくる。映画『ぱいかじ南海作戦』で演じた佐々木について、阿部サダヲは「最初に台本読んだ時は、なんだこいつって思ったんですよね」と語る。
「東京から来たカメラマンで、ちょっと気取ってる感じで。そいつが南の島に来て、どんどん変わっていく。それが面白いし、人が変化していく姿を見せられたらいいなって。逆にいうと、殻かぶってた人なんでしょうね、きっと。カッコつけて、現実の自分より上に見せようとしていたのが、かえってどんどん滑稽になっていく」


 タイトルにある「ぱいかじ」は沖縄の方言で「南から吹く風」という意味。西表島(いりおもてじま)で1カ月におよぶロケを敢行した。
「監督も穏やかな人だから、スケジュール的にものすごく余裕があるわけでもないのに、ゆったり撮れてる感じがして、現場がすっごく楽しかったんですよ。実際にゆるやかな風が吹いてるみたいでした。カエルなのかな。ずっとコッコッコッコッて鳴いてて、その音がまたすごくいいんです。一日だけオフがあったんで、車でずーっと走って、海でぼーっとして。ただ、佐々木みたいに本当にずーっとだとツライかもしれない。半日くらい経つと“……コンビニとかねえかなあ”って(笑)。あの雰囲気がそのまんま映画になってたらいいなと思ったら、なってたんです。あったかい映画ですよね」
  映画内のキャンプ生活に触発されたわけではないけれど、オススメの一冊も『安心・安全! はじめての快適車中泊』。
「まだしたことないんですけど、しようと思って。車もフラットな仕様にして、自分では盛り上がってたんですけどね。意外と家族は乗り気じゃなくて…。まいっちゃいますよね(笑)」

 息子さんは小学校6年生。お父さん、張り切ってバーベキューで腕を振るうこともあるそう。
「ただ、難しいんですよ、炭って。やきとり焼いたら、先に串が焼けちゃって、肉が全部落っこちるみたいな」
 
 目下の憧れは息子とふたり旅。
「これですよ、これ! この足湯やってる写真がすごくよかったんですよ、お父さんと息子で。でもこの写真、子どもの表情が微妙……この子もあんまり乗り気じゃないのかな(苦笑)。カーテンもひいたし、コンロも買ったんですけどね。だからあとは気持ちだけなんだけどな」
 
 家族の目につくようにトイレにこの本を置いてみたけれど、誰も手にとってくれないらしい。
「子どもが釣り好きだから、魚釣って、その場で食べて……みたいなのをやりたいんですよ。読むと面白いんですけどね。なかなかついてきてくれない(苦笑)」

■阿部サダヲさんが選んだ1冊
安心・安全! はじめての快適車中泊』JTBパブリッシング 1365円
快適な車中泊のための基本を具体的に解説。夫婦旅、男のひとり時間、親子で温泉めぐり、優雅な本格派、ロングランの帰省、登山の前泊、ペット連れのドライブなどシチュエーション別のノウハウと注意点、便利なグッズ、温泉施設ガイドなどを紹介。最小限の用具で気軽に楽しめる車中泊のハウツーが満載の1冊。

取材・文=瀧 晴巳
(ダ・ヴィンチ8月号「あの人と本の話」より)