質の追求で民放ドラマと差別化WOWOWの「連続ドラマW」

テレビ

更新日:2012/10/9

 地上波のテレビドラマの視聴率が振るわないなか、WOWOWオリジナルのドラマシリーズ「連続ドラマW」が存在感を増している。作品の質が高いといわれ、2009年に『空飛ぶタイヤ』はATP賞テレビグランプリドラマ部門最優秀賞受賞に輝いた。

advertisement

 その高評価を受け、原作者の池井戸潤氏は『下町ロケット』もWOWOWでのドラマ化を快諾したとか。同作品は中小企業の再生物語。復興を目指す東北地方を後押しする狙いで、東日本大震災後に放送した。また、『マグマ』(原作・真山仁)では自然エネルギーの地熱発電を扱うなど、現代の日本が抱える問題を捉えた社会派の要素が色濃い。

 視聴率を最優先する民放に対し、有料放送のWOWOWは、「ドラマの存在で加入者の楽しみを増やす以上に、駄作を生んで解約を促さないのが大事」とは、ドラマWを立ち上げ、制作を指揮するプロデューサーの弁。一定レベル以上の作品を常に送り出すことが加入者の囲い込みにつながっている。クオリティーの追求に真っ向から取り組めるわけだ。

 新作『ヒトリシズカ』(10月21日開始)は、誉田哲也の同名小説が原作のサスペンスドラマ。関連性の見えなかった複数の殺人事件に一人の少女が浮かび上がり、事件の全貌が明かされていく。魔性の魅力に満ちた少女役に、若手実力派の夏帆を起用。もともと映像化との相性がいい誉田作品だけに話題を呼びそうだ。

文=平山ゆりの/日経エンタテインメント!
ダ・ヴィンチ11月号「出版ニュースクリップ」より)