“一目ぼれ”にご注意！　あなたは本当の彼を知っていますか？

自分に自信が持てないおっちょこちょいな女の子の人生初めての恋。それも“一目ぼれ”で好きになった相手が、自分を好きになる。なんて夢みたいな話だろう。白馬に乗った王子様？ みたいな話から始まるから、私はつい、侮ってしまっていた。

卒業を間近にひかえた女子大生の主人公、アナスタシア・スティールが風邪をこじらせた友人のピンチヒッターとして行ったインタビュー取材で、巨大企業の社長、クリスチャン・グレイに出会い、“一目ぼれ”するところからこの物語が始まる。

彼女は21年間待ちに待った恋をした。そのお相手は若き億万長者であると同時に、誰もが見とれてしまうほど美しすぎる美男子！ 何もかもが完璧すぎる彼だった。そして彼もまた、彼女に対して今まで感じたことのない感情を抱き、お互いに惹かれて合っていく…。

そんな少女マンガのような運命的な出会いから一変、彼女は彼のことを知れば知るほど、足を踏み入れるのをためらってしまうような裏の世界に直面する。やっと恋ができたと思ったら、よりによって危険すぎる男。しかしながらその危険さが、初恋にはハードルが高すぎる。初恋じゃなくてもだけど…。

惹かれ合っているにも関わらず、お互いに譲れないものがあり、それが普通の恋愛なら、ここまでの障害はなかっただろう。主人公と一緒になって一喜一憂してしまい、ハラハラドキドキの展開で読むのがやめられない。

現実でも、せっかく好きになったのに、いざ付き合ってみると、理解しがたい趣味を持っていたり、誰にも知られたくない過去があったり…。大なり小なりそんな経験をした人も意外と少なくないのでは？（私も好きになった人がたまたまアル中（アルコール中毒）だったこともあったな…苦笑）普通の人と付き合っていくのにも、何かを妥協したり、譲歩したりする必要が出てくると思うけれど、本作では、こんな究極の選択もあったの！？ と思うほど、心を揺さぶられること間違いなし！

SM的要素があり、官能小説ならではのエロティックな描写に衝撃を受けてしまうと思うが、それを乗り越えて読み進めると、正統なラブストーリーでもあることにも気づかされ、アナスタシアがクリスチャンに引き込まれていくように、読む側もどんどんハマっていく。

彼が先回りして、彼女に高級車を買い与えたり、ヘリコプターに乗せたり、高級マンションで一緒に過ごしたり等々、女子がしてもらいたいと思うことを次々にやってくれるから、“もしも私がイケメン億万長者に好かれたら？”という妄想もできて（笑）、めくるめく非日常が楽しめる！

シリーズ全3部作が全世界で累計6300万部という大ベストセラーを記録中。Amazonのイギリス版では、「ハリー・ポッター」シリーズ全7作の売り上げを抜き、「マミー（母親の）ポルノ」と称される本作が、このたび日本上陸した。映画化も決定していて、キャストにはアンジェリーナ・ジョリー、エマ・ワトソン、クリス・パインなどの名前が挙がっているというニュースもあるなど、話題沸騰中だ。

書店ではちょっとという人でも、電子書籍なら買いやすいし、どこでも堂々と読める。おもしろいけれど、とにかく刺激が強い作品なので、青春ラブストーリー系が好きな人は読まないほうが安全。