眠りたいのに眠れない子がたった10分で…!「眠ってもいいんだよ」子守唄ならぬ“子守絵本”

文芸・カルチャー

公開日:2022/12/15

 全然眠ってくれない息子につきあい続けて早6年。同じような悩みを持つ親御さんはたくさんいると思います。よく思うのは、子どもは「眠れない」のではなく、「眠りたくてしょうがないのに眠れない」ということです。だとしたら、何らかの方法で寝かしてあげなければ…。

 そんな人におすすめしたいのが『おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』(カール=ヨハン・エリーン:著、三橋美穂:監修/飛鳥新社)という絵本です。「たった10分で寝かしつけができる、魔法の絵本」として、先輩ママ、パパにはすっかりおなじみの1冊。つい先日、発売からわずか7年と絵本としては異例の早さで100万部を突破。幼児期から正しい睡眠習慣を身に付けさせることが重要視される今、さらに注目を集めているのです。多くのママやパパから選ばれ続けている定番絵本ですが、ご存じない方のために改めてご紹介しましょう。

おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』(カール=ヨハン・エリーン:著、三橋美穂:監修/飛鳥新社)

 心理学のテクニックに基づいて描かれ、この本を読むと眠れる、という心理学的効果はすでに実証済みだとか。効果を確認するべく、6歳児に読み聞かせると、これが笑ってしまうほどすごかったのです!

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6歳の息子に読み聞かせてみたら…

 最初のページには、読み方の手引きが書かれていました。

「【注意!】車を運転する人のそばで絶対に音読しないこと」という記述に、“まさかね”という気持ちを抑えつつ、手引きにならって、子どもには横になってもらい、絵は見せず、話を聴くだけの状態で読み聞かせを始めました。

 なにしろ眠るのが苦手で、6年間も親を悩ませてきた筋金入り。そんな簡単に眠れるはずがない、と半信半疑でしたが…。

ロジャーは公園で朝から晩まで遊ぶことを考えていました。そして、ブランコの上で寝ちゃうのです。さあ。ロジャーを乗せて、ブランコが行ったり来たり、ゆーらゆら、ゆーらゆら、ゆっくり、ゆったり、ゆーらゆら。

青色の文字は、ゆっくり、静かな声で読むところ

 文章量がわりと多く、読み慣れない言葉もあるので、時々つまりながら一生懸命読んでいたら、隣で聴いていた息子の目がふっと閉じたように見えて…。

息子、1/3も読んでないうちに眠る

 いやいや、そんなはずはない。まだ1/3も読んでないのに…と思いながら読み続けていると、今度はスヤ~っと寝息が! ふと顔を見ると、やっぱり寝ている…!

 眠るのはいいことなのですが、この状況がにわかに信じられず、なぜか笑いが込み上げてきて、冷静に読み続けるのが大変でした。(←「途中で寝ても起こさず、終わりまで読むことで効果が上がる」と手引きに書かれているため)

 けれど、「まだ眠っちゃいけない」という気持ちが働いている息子は途中で目を覚まし、「うわ、寝てた!」と驚きを隠せない様子。しばらくは目をゴシゴシとこすったり、ぎゅっと目を瞑ったりして眠いのを我慢していましたが、そんな格闘もむなしく、すぐにまたスヤ~。

気づいたら、ロジャーが自分の隣にいる

おねむのカタツムリは【なまえ】にいいました。
「だいじょうぶ、このお話を聞いていたらきみも眠れるよ。とてもかんたんにね。さあ、眠ってもいいんだよ、いますぐ

太字は、言葉や文を強調して読むところ

 この絵本では、【なまえ】にわが子の名前を入れて読むことができます。しかも物語の途中、ごく自然な流れで出てきます。想像するに、【なまえ】が出てきた途端、わが子の頭の中では「ロジャーの物語」が「自分の物語」に切り替わります。

 気づいたら、自分の隣にはロジャーがいて、目の前には眠りの達人「おねむのカタツムリ」や、眠りの魔法をかけてくれる「あくびおじさん」がいる。そして、こう告げるのです。「眠ってもいいんだよ」と。

 隣でとろとろと眠くなってしまうロジャーと一緒に、いつの間にか自分も眠りについている…子どもの気持ちを代弁すると、そんな感じでしょうか。

 ちなみに、息子はこの絵本を読むと眠くなることを認知したようで、「また読むの!?」と若干抵抗しながらもまた読み、2回目は最初の3ページほどで眠ってしまいました。今度は眠りと格闘することはなく、すんなり眠るのがまんざらでもなさそう。なんだ、本当は眠りたかったんだ、と実感しています。

 物語に没頭すればするほど眠くなる。しかも、眠ってしまうことをわかっていながら何度も眠らされる。まさに魔法のぐっすり絵本…!

眠りの世界に誘い込むぐっすり絵本の決定版

 この本には「ゆっくり」「いますぐ眠くなる」など同じ言葉の繰り返しや、多少読み慣れない文が出てきます。「ここはゆっくり」「ここであくびをする」など読み方のアドバイスもあります。

 読んでいるうちに、これらの箇所が、子どもを物語の中に誘い込むスイッチや、眠りに誘うスイッチになっていることが伝わってきます。なので、読み聞かせの際には、書かれている通りに読むことが、より効果を得られるコツだと実感しました。

 ちなみに、この絵本にはシリーズがあり、“ロジャーの絵がちょっと苦手”という人には、かわいいゾウが登場するぐっすり絵本『おやすみ、エレン』がおすすめ。暗やみがこわい、食べ物嫌いが激しい、という子には、魔法の言葉が綴られた絵本『だいじょうぶだよ、モリス』で悩みが解決するかもしれません。

 なかなか眠れない子は、ロジャーと同じで、“眠りたくてしょうがないのに、いますぐには眠れない子”なのかもしれません。この絵本で快眠を得られるといいですね。ぐっすり眠れるすごさを実感し、この魔法を多くの人に広めたい気持ちでいっぱいです!

文=吉田あき

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