就活本にも使える?! 宇宙飛行士選抜試験にみる驚異の「人間力」

小説・エッセイ

更新日:2012/12/25

ドキュメント宇宙飛行士選抜試験

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 光文社
ジャンル:教養・人文・歴史 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:大鐘良一 価格:616円

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NHKスペシャルにて2009年に放送された「宇宙飛行士はこうして生まれた~密着最終選抜試験」を1冊にまとめた本書、タイトルだけで即購入してしまいました。そんな珍しい宇宙飛行士たちの世界をのぞいてみたいと、好奇心を抱いたことがある人も多いのではないでしょうか。NHK報道局科学文化部のスタッフは、このドキュメンタリーを作るのに10年間待ったといいます。

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子供のころ「宇宙飛行士になりたい」という夢を持ったことがある人は多いはず。その夢を夢に終わらせない人々が一握りだけいる…そのことだけでも何か勇気をもらいます。10年に一度あるかないかの宇宙飛行士募集。超難関の選抜を通ったとしても実際に飛行士になるのにさらに2年は必要、そして宇宙へ旅立てるかどうかも定かではなく、宇宙飛行士になってから10年も待つことがあるという世界。こうした世界がおもしろくないわけがありません。

そして読むうちに何度か言及されるのが宇宙飛行士の持つべき資質について。「どんな局面でも決してあきらめず、他人を思いやり、その言葉と行動で人を動かす力があるか」ということ。宇宙飛行士選抜試験は専門知識や体力、健康面でもパーフェクトなだけでなく、「人間力」を徹底的に調べ上げる試験だという、そのこと自体が驚きでした。ハリウッド映画のSFに出てくる、乱暴だったりキレちゃったりする人間では到底宇宙生活は務まらないわけです。生身の等身大の宇宙飛行士候補たちは優秀なうえに、それぞれの個性を持った人たち。963人の中から選ばれた10人の候補者の様々な顔をのぞいてゆく過程は、静かな興奮を誘います。100点満点以上の資質を持った彼らが、それでもどんな風に平静を失ってしまうのか。人間関係の中でどんな風にさらなる魅力をアピールするのか。目からうろこの世界。試験に受かった2人だけでなく、最終選抜に残った人々にもドキュメンタリーを作った人々にも、大拍手の1冊です。


80㎡に10人が1週間暮らすという最終試験のひとつ

この閉鎖環境施設の外観。おもしろい!

夢に向かって前進するのみな10人。いい顔してます