「熟睡できない」の解決法は朝の過ごし方にあり!? ささいな行動の変化で睡眠の質を高める”快眠の法則”

暮らし

公開日:2023/4/12

あなたの人生を変える睡眠の法則2.0
あなたの人生を変える睡眠の法則2.0』(菅原洋平/自由国民社)

 頭がスッキリせず仕事のやる気が出ない、ぐっすり眠れない、など睡眠の悩みは人それぞれ。サプリなどに頼ってみたものの、改善の兆しが見られず、頭を抱えている人も多いのではないだろうか。

 そんな人に勧めたいのが、質のいい睡眠のつくり方を教えてくれる『あなたの人生を変える睡眠の法則2.0』(菅原洋平/自由国民社)。著者の菅原氏は、国立病院機構で脳のリハビリテーションに従事し、現在は「ベスリクリニック」で薬に頼らない睡眠外来を担当。科学的根拠に基づく脳と睡眠のメカニズムをベースに、生体リズムを活用した睡眠メソッドを提唱している。

 本書は、14万部突破のベストセラーとなった前作を全面リニューアルした一冊。医療現場で実証済みの「科学的」快眠習慣が、より具体的で使い勝手のいい法則を用いて紹介されている。

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睡眠の質が悪くなる原因は「3つのリズム」が乱れることにあった!

 著者によると、脳と睡眠の仕組みを知り、3つの生体リズムを整えることで、睡眠の質は格段にあがるとのこと。朝昼夕の1分の行動で生体リズムは自分で整えていくことができるのだという。

あなたの人生を変える睡眠の法則2.0

3つの生体リズムと、リズムを整える法則とは次の通り。

・メラトニンリズム…睡眠を誘発するメラトニンが増減するリズム
→ 光の法則:光を見てメラトニンを減らし、脳を覚醒させる

・睡眠―覚醒リズム…「脳幹」が「大脳」を眠らせようとするリズム
→ 負債の法則:目を閉じて脳の睡眠物質を減らす

・深部体温リズム…体の内部の温度が変化するリズム
→ 体温の法則:姿勢を良くして体温を下げ、眠り始めの体温を下げる

 これら3つのリズムの乱れが睡眠の悩みを引き起こすと著者は指摘する。

 例えば、朝目覚めた後、カーテンを開けて日の光を浴びないと、「メラトニンリズム」が後ろにずれ、「睡眠-覚醒リズム」も同調して後ろにずれるが、固定力が強い「深部体温リズム」はそのままの時間を刻んでいくため、3つのリズムの調和が崩れる内的脱同調という状態になるのだそう。この状態が継続すると、「深部体温リズム」までも後ろにずれ、昼夜逆転状態に発展していき、リズムが簡単に戻らなくなってしまうという。

 こうした事態を防ぐために効果的なのが、「起床から4時間以内に光を見て、6時間後に目を閉じ、11時間後に姿勢を良くする」という「4-6-11」の睡眠の法則。本書では、この大原則を朝、昼、夜の1分で手軽にできる方法として紹介している。

 例えば、朝に行う「起床から4時間以内に光を見る」という光の法則。これは、目覚めたらできるだけ早く窓の近く(1m以内)に行こう、というもの。浴びる光の量が多いほど短い時間で夜の眠気がつくられるため、窓から顔を出したりベランダに出て1分程度過ごしたりするのもおすすめなのだとか。

 ささいな行動を変えるだけで睡眠の質を改善できる快眠の法則は、今日から試してみたくなる。

「途中で目が覚める」「朝起きられない」のあるあるな睡眠トラブルも解決!

 本書では3つの生体リズムの整え方だけでなく、あるあるな睡眠トラブルの解決法も紹介している。

 寝つきはよくても、夜中に何度も目が覚めてしまい、熟睡感がない……と悩んでいる人は多いはず。そんな人はメラトニン不足が原因である可能性が。そのため、朝の起床後は窓際1m以内に近づき、就寝3時間前から意図的に暗い環境をつくるとよいのだそう。

 そして、途中で目覚めた時に時計を見てしまうと、いつも同じ時間に目覚めてしまうようになるため、時間を確認しないことも大切。もし尿意で目覚めてしまうのならば、就寝前に10分程度、腰よりも高い位置に脚を上げると、重力で体の中央に水分を集めることができ、就寝前のトイレに繋がりやすくなるという。

 また、朝になかなか起きられず二度寝をしてしまうのもよくある睡眠トラブル。二度寝後により眠くなったり、頭がボーっとしてしまったりしてしまうのは、脳に血流を届ける準備ができたのに頭を横たえていることが原因。そこで、起床時に頭を起こしたり、座った状態で二度寝をしたりするのが効果的なのだとか。他に、ひざ下に冷水と温水を交互に3回かけると、血管の収縮と弛緩が促され、目覚めがスッキリするそう。

 睡眠の質は自分のささいな行動で良くすることができるとわかれば、少し心が軽くなるはず。より良い睡眠と日常の活動を手に入れるために本書を活用してほしい。

文=古川諭香

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