二足歩行するニンジン!? いや「ニンジンジン」をウサギたちが追いかけて…? 大人気クリエーター・キューライスの中毒性たっぷり最新絵本

文芸・カルチャー

更新日:2023/3/31

ニンジンジン
ニンジンジン』(キューライス/白泉社)

 ウサギたちがニンジンを追いかける。そのストーリーに、子どもだけでなく、大人の私も、こんなにも癒され、こんなにも笑わされてしまうとは思ってもみなかった。その作品とは『ニンジンジン』(キューライス/白泉社)。ニンジンの形をしている不思議な生きもの・ニンジンジンをめぐる絵本作品だ。

 作者はキューライスさん。東京造形大学アニメーション専攻を一期生として卒業後、映像制作会社でCMの制作に携わり、現在は絵本とマンガ、両ジャンルで活動しているマルチクリエーターだ。

 マンガ作品では、『ネコノヒー』(KADOKAWA)や『スキウサギ』(秋田書店)などで知られ、『悲熊』(LINE Digital Frontier)は、ジャニーズWESTの重岡大毅さん主演でドラマ化されたことでも話題に。「ドン・ウッサ」シリーズをはじめとする絵本作品を出版してからは、絵本作家としても大活躍。SNS上での人気も高く、Twitterはフォロワー数29万超、Instagramは同19万超(いずれも2023年3月現在)で、そのフォロワーの中には著名人もちらほら。

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 キューライスさんの描くキャラクターはみんな可愛らしく、ほっこりさせられるのに、どこかシュール。最新作『ニンジンジン』もまた、中毒性が高く、子どもも大人も一緒に笑顔になれる作品なのだ。

ニンジンジンが あるいてる
ニンジンだけど あしがある
ひとのかたちだ ニンジンジン
ふさふさヘアーは はっぱだジン

 七五調で綴られたこの絵本の文章は、とにかく読んでいて楽しい。心地良いリズムで、子どもも大人も思わず声に出して読みたくなり、読み聞かせもはかどりそうだ。

 そして、なんといってもイラストがあまりにも可愛い。ああ…ニンジンジンも、その跡をつけるウサギたちも、その近くにいる小さいウサギと小さいニンジンジンも、なんて愛くるしいのだろう。登場するキャラクターはその見た目も仕草も全てが私たちのハートをガシッと掴んでくる。ページをめくればめくるほど、彼らの虜にさせられ、ほんわかした気分にさせられてしまう。

ニンジンジン p.4-5

ニンジンジン p.8-9

ニンジンジン p.10-11

 ウサギたちはニンジンジンを捕まえようと試行錯誤。でも、このニンジンジンがなかなか手強いのだ。ニンジンジンはウサギを華麗にかわしていき……。そのかわしかたといったら、「そうきたか!」と驚かされるものばかり。キューライスさんのユーモアに脱帽。思わずクスッと笑わされてしまう。…つ、強すぎるぞ、ニンジンジン! そして、また、ニンジンジンの捕獲に失敗するたびにウサギが見せる表情がなんとも切ない。哀愁漂うその姿に、ウサギたちには悪いが、ついつい頬がゆるんでしまう。

 果たしてウサギたちはニンジンジンを捕まえることができるのだろうか。この作品には、読み聞かせPVもあるのだが、そのナレーションの声の主は何と…!? 絵本もPVもサプライズが満載! ニンジンジンとウサギの微笑ましい戦いを、あなたもお家で楽しんでは?

文=アサトーミナミ

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