“頭のいい子”に育つために親ができることをSAPIX講師が伝授! 子どものやる気が高まる春に知りたいメソッド

出産・子育て

公開日:2023/4/13

10万人以上を指導した 中学受験塾 SAPIXだから知っている 頭のいい子が家でやっていること
10万人以上を指導した 中学受験塾 SAPIXだから知っている 頭のいい子が家でやっていること』(佐藤智/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 4月。進学や進級で気持ちを新たにしているお子さんも多いことでしょう。自分自身を振り返っても、新しい教科書をもらい、「今年こそ勉強頑張ろう!」という気持ちになっていた気がします。そんなタイミングでおすすめなのが、『10万人以上を指導した 中学受験塾 SAPIXだから知っている 頭のいい子が家でやっていること』(佐藤智/ディスカヴァー・トゥエンティワン)。教育ライターである著者が、数多くの難関中合格者を輩出する進学塾・SAPIX小学部の講師たちへの取材を通して、“頭のいい子”になるために親がすべき声掛けや心構えを紹介する一冊です。

 まず、本書の言う“頭のいい子”とは、学びに関心を持ち、学び続けられる子のことを指します。著者曰く、先行きのわからないこれからの時代に必要なのは、成績を上げるために学生時代のみ勉強して知識を詰め込むことではなく、知的好奇心や探求心を持って、生涯学び続ける姿勢。そしてその学び続ける姿勢を持つために必要なのが、「好奇心、批判的に考える力、自らを表現する力」の3つだというのです。ではどうやってそれら3つの力を伸ばすのか? そのキーワードは“質問”です。

 まず、1つめの「好奇心」と2つめの「批判的に考える力」を伸ばすためには、子どもから生まれる質問を大切にすること。子どもは本来、好奇心のかたまりだと著者は言います。確かに「これはなに?」「あれはなに?」と子どもから質問攻めにあった体験を持つ方も少なくないはず。そこで子どもから生まれた質問をないがしろにせず、「面白い視点だね!」などと肯定することが大切なのだとか。さらにそこから親子の会話を広げられれば満点ですが、時には忙しくてそうできない時もあるのが現実。そんな時でも「今忙しいんだから!」と否定せず、「わかったらお母さんに伝えて」など一言でも前向きな言葉をかけることが、子どもの好奇心や批判的に考える力を育むことに繋がるそうです。

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 また3つめの「自ら表現する力」を伸ばすには、日常会話に「なんで?」を挟んでいくことが有力だとのこと。例えば「今日の夕飯、お肉が一番おいしかった」と子どもが話してくれたら「なんで?」と聞いてみる。すると子どもは頭の中でこれまでの知識を統合したり、感情を振り返ったりしながら考えて返事をします。これが気持ちを表現する訓練になるのです。

 それらを踏まえた上で本書ではさらに、家庭学習における子どもとの接し方をOK・NG両方の具体例を挙げて紹介していきます。

 例えば、子どもがわからないところを教えたあとにかける言葉として、

「これでわかったよね?」
「わからなかったら、また聞いてね」

 どちらが適切でしょうか?

 答えは、「わからなかったら、また聞いてね」。なぜなら「これでわかったよね?」のように少しでも圧がある言い方をしてしまうと、子どもは再びわからなくなった時に、「わからない」と言い出しづらくなってしまうからなのだとか。家庭学習では、子どもが「わからない」と言える雰囲気を作ることが大切だと著者は説きます。本当にわかったかどうか確認したい時は「わかった?」ではなく、子どもに説明を促すようにすると本当に理解できているかが見えてくるそうです。

 続けて本書では家庭学習だけでなく、国語・算数・理科・社会それぞれの科目ができる子になる習慣のつけ方も紹介。例えば文章題が苦手な子へのアドバイスとして、文章の音読をすすめるのではなく、文章に印をつけて読むことをすすめるなど、すぐに取り入れられそうなアイデアがたくさん紹介されています。

 あとがきで著者は「教育とは環境整備だ」と語ります。土壌を耕して水や肥料を与えることはできても、「どんな花が咲くか=結果」をコントロールすることはできない。指図したり押し付けたりするのではなく、気軽な気持ちで、時に親も楽しみながら一緒に学んでいくことで子どもの力を育む。そして受験や成績の結果ではなく、「この子ならどんなところでもやっていける」という、結果を手放した子どもへの信頼こそがゴールと言える。そんな著者からのメッセージに自分の子育ての視野の狭さに気づかされたと同時に、「これならできそう」と前向きな気持ちになれた一冊でした。

 何かを始めてみたくなる春。著者のメソッドに“なるほど”を感じたら、本書のアイデアを参考に、親子ともに学びを楽しんでみてください。

文=原智香

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