これはもう、鈴木ワールドというひとつのブランド展開

ライトノベル

2013/1/12

鳩子さんとラブコメ

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : KADOKAWA / 富士見書房
ジャンル: 購入元:BookLive!
著者名:鈴木大輔 価格:463円

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「財閥」「跡継ぎ」「美少女と同棲」「ボロアパート」「したたか主人公のひとり語り」…。
本作『鳩子さんとラブコメ』にタグをつけるとしたら、どんな言葉だろうかと考えてみた結果ですよ。ここで、『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』を連想した方も多いのではないかなと思います。「ま、同じ作者の同時期の作品だから当然だよねっ」で済ませられない人や、あらすじだけで「似てるな…」と、パスしてしまう方はもったいないので最後まで読んでね。しっかりレビューさせていただきますよ。

まずですね。一般文芸でもそうですけど、多作な作家には必ず○○ワールド、という言葉がついて回ります。作家が意図しようとしまいと、読者がみつける作家の癖のことですよ。藤子不二雄先生の『ドラえもん』と『キテレツ大百科』とかいえば伝わるかと思うのですが。本作はそういう意味で、非常に鈴木大輔という作家の血が濃い作品です。

主人公の平和島くんが読者に語りかけるタイプのモノローグから始まり、同居美少女に迫られ、それでも平和島くんは手を出さず、でもそれは「へたれ」だからではなくて、したたかな計算があっての行動。
なんだか今北三行な感じの説明ですが、実はこれだけでストーリーの取りこぼしは、ほぼないんです。でもシンプルイズベストです。一読して、誰もが三行程度にまとめられるストーリーほど強いものはないですよ。しかも、一気に読ませる文章力とサービス精神がてんこ盛りなんだから。

新人賞作品や、売り出したばかりの作家の作品にはとがった何かがある。というより、一部でもとんがっていないとデビューはできない。一方でベテランには安定感や、それまでついてきた読者を納得させる内容やクオリティが求められると思うのです。その辺の認識がしっかりしている作家の魅力満載な1冊でした。


おなじみのひとり語りから始まるプロローグだが…

平和島くんの「コレクション」まで暴くヒロイン鳩子さん

そしてもうひとりのヒロイン杏奈。当て馬っぽい立ち位置に思えたのだが…

ラノベの華、挿絵もこの通りの安定感です

拡大フォントは賛否あるだろうけど、ポイントを絞れば効果的だなと思った
(C)鈴木大輔、nauribon/富士見書房