企画、アイデア出しが苦手な人へ。克服するためのキーワードは「考えた量」&「図」!

ビジネス

公開日:2023/5/29

「考えるスキル」を武器にする
「考えるスキル」を武器にする』(筧将英/フォレスト出版)

 企画力がモノを言う時代になってきた。ビジネスの現場はもちろん、誰もがインフルエンサーになれる昨今では、すぐれた企画を生み出せば一躍注目の的になるのも夢ではない。

 しかし、アイデアを形にできない。考えた企画がパッとしないと、日々、悩んでいる人たちもいるはず。そんな人たちに読んでほしいのが、大手広告代理店・電通出身の戦略プランナーによる『「考えるスキル」を武器にする』(筧将英/フォレスト出版)だ。

 広告業界で生きる人びとだけではなく、「考えることが得意になりたい」と願うすべての人びとに役立つ本書では「初級編」「中級編」「上級編」とレベルに応じた思考術が学べる。本書より、第一歩である「初級編」の内容を抜粋して紹介していく。

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ひたすら書き留めて「考えた量」にこだわる

 ビジネスの現場では、よく「簡潔に伝えることが大事」だと言われる。しかし、それはあくまでもビジネストークやプレゼンテーションの場面での話で、「考えること」を身につける上では、むしろ簡潔に「まとめない」のが肝心だという。

 これは「まとめる意識」がターゲット、商品、社会、現象など本質に迫る際には障害になってしまうためだ。真に考えられる人になるには「考えた時間」よりも「考えた量」にこだわるのが必要で、具体的には紙やパソコン、スマホにアイデアを「とにかく書く」のが近道だと著者は主張する。

 実際、考える段階での注意点もある。例えば、はじめから「正解」を目指すことなく浮かんだ言葉を、手を止めないでそのまま書き出していくのは、そのひとつだ。

 また、うまくまとめようとはせず自分なりの言葉で記録し、表現の幅を広げるため仕事で知らない言葉が出てきたら、すぐに意味や用法、関連語などを調べ、日常的に「語彙力」を鍛えておくのも、価値の高いアウトプットの確率を上げるために役立つのだそうだ。

アイデア整理にも役立つ「図」で示す姿勢

 アウトプットは、文字だけに限らない。プレゼンテーションなど、第三者へ自身の考えを伝える場面だけではなく、自分のアイデアを整理するときも「図」を効果的に使うのがよいという。

 図解の方法としてあるのは、主に「グラフ」「画像/動画」「概念図」の3種類だ。本書が特に強調しているのは「概念図」で、人間が頭の中で考えていることをうまく整理して視覚的に表現できるという特徴がある。

 さらに細かく見ると、十字型に矢印が重なる「低価格←→高価格」などの比較に役立つ「二軸図」や、円の重なり方で2つ以上の集合の関係を示す「ベン図」。四角と矢印で物事の因果関係を表す「プロセス図」、物事の順番や作業手順などを表現できる「ステップ図」の4種類を使えば十分に事足りるという。

 図の表現は苦手と自称する人は「自分の頭の中にたいした考えがないことがバレるのがイヤだ」と思っているかもしれない。しかし、生活のあらゆる場面で浮かんだ考えを図に変えるクセを付けておくことには意味があり、アウトプットの際に他人へうまく伝われば大きな達成感が味わえる、と著者は述べる。

 私たちは、弱い存在だからこそ考えることが力になるため、日々、考える力を能動的に養わなければいけない、と著者は本書で訴える。何事も楽しむ秘けつは、自分で考えたことをやることだ。タイトルのとおり「考えるスキル」は、ひいては「人生を楽しむためのスキル」。その言葉には強い説得力が感じられる。

文=カネコシュウヘイ

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