納豆にはミルクティーが合う!? 和紅茶って? 知られざる紅茶の魅力と楽しみ方を学ぶ一冊

暮らし

公開日:2023/5/30

 緑茶と同じく、飲んだことがないという人はいないぐらい生活に馴染んでいる紅茶。肌寒い時は体を温めてくれたり、暖かくなればアイスティーで爽快に味わったり。また最近では、アフタヌーンティーなどで軽食やスイーツとじっくり楽しんだりと、日常からちょっと特別なシチュエーションまで、年中さまざまな機会で紅茶を嗜む。だが身近ながら、その歴史や文化、産地や種類について、あまり知らないという人は多いのではないだろうか。

 紅茶は、世界で水の次にたくさん飲まれているという。また、紅茶も緑茶も烏龍茶も、同じ茶の木で学名「カメリアシネンシス」というツバキ科に属する常緑樹からつくられているのだとか。何よりそもそもお茶は紀元前から2000年以上ずっと人類が飲んできた。病を癒やし、心や体を元気にすると受け継がれてきたのだ。

もっとおいしい紅茶を飲みたい人へ WHAT A WONDERFUL TEA WORLD

 そうした知られざる紅茶のイロハが学べる一冊が『もっとおいしい紅茶を飲みたい人へ WHAT A WONDERFUL TEA WORLD』(田中哲/主婦の友社)。歴史や文化的な背景のほか、おいしい紅茶やアイスティーの淹れ方をはじめ、ストレートティーとミルクティーに向いた茶葉や華やかなアレンジティーについて、フードとのペアリング(納豆にはミルクティーが合うらしい!)、オレンジペコーとは何かなど、同書には知るほどに奥深く、飲みたくなるワザや知識が詰まっている。

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もっとおいしい紅茶を飲みたい人へ WHAT A WONDERFUL TEA WORLD

 著者は、紅茶鑑定士で長年にわたって飲料メーカーで紅茶に携わってきた田中哲氏。造詣の深いエキスパートである同氏が、Q&A方式で、紅茶にまつわるあれやこれやに答えるかたちで構成されている。また、おいしい紅茶の淹れ方、茶葉の種類やフードとのペアリングなどは、カラフルな図や写真でわかりやすく解説されているし、「紅茶を巡る旅」の章は著者が紅茶を巡って世界を飛び回った紀行エッセイ風となっていて、どこから読んでも楽しめる。

 例えば、おいしい紅茶の淹れ方のコツは、「ゴールデンルール」が基本。できるだけ熱いお湯を使って、ポットもカップもしっかり温めて淹れると、紅茶のおいしい成分がお湯にとけ出しやすくなるのだそう。目安は、カップ1杯あたり茶葉2~3g(ティースプーン1杯)で、150~160mlの熱湯を注いで、蓋をして十分に蒸らし時間をタイマーではかって待つ。蒸らし時間は、茶葉の大きさによって異なるが、ティーバッグや細かい茶葉なら2分、大きめサイズの茶葉(OP/オレンジペコー)なら5分といった具合だ。

もっとおいしい紅茶を飲みたい人へ WHAT A WONDERFUL TEA WORLD

 このOPと表記されるオレンジペコーとはグレード名で、大きいサイズの茶葉のこと。そのため「ダージリンのオレンジペコー」などと呼ばれるのが通例だが、このグレードを定める前に「おいしいお茶のイメージ」で使われていた呼び名でもあるため、例えば日本でもよく見かけるトワイニングの「セイロン・オレンジ・ペコー・ティー」のように、茶葉のサイズと関係なく商品名になっているものもある。ちょっとややこしいがOPはその名前の由来についても、諸説あることが詳しく明かされていて、やはり知るほどに興味関心をくすぐられる。

 一方、アイスティーのコツは、同様の手順で濃いめの紅茶を淹れておいて、氷がたっぷり入ったグラスにその熱々の紅茶を一気に注ぎ入れる。こまやかなコツと指南があるので、ミルクティーなら(ミルクが先か後かでも味わいが違う)、フルーツティーなら、チャイなら、ティーソーダなら、と多種多様な紅茶を楽しみたくなる。茶葉の選び方や道具など気になるポイントも網羅されており、少しの工夫でいつもの紅茶が手軽によりおいしく、幅広く楽しめることに気づかされる。

もっとおいしい紅茶を飲みたい人へ WHAT A WONDERFUL TEA WORLD

 他にも気づかされた魅力として、日本国内でつくられる紅茶である和紅茶にも目を向けたい。同じ茶の木からつくられ、緑茶ができるほとんどの県で和紅茶がつくられているそうだ。最近は熱心な生産者が、それぞれ特徴ある高品質なものを生み出していて、海外の品評会で表彰されるほどなのだとか。緑茶を生産している地方にでかけた時には探すようにしたい。

文=松山ようこ

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