45歳からの生活習慣も影響? 認知症の原因のひとつはメタボ!? 今から始める認知症予防の年齢別対策

健康・美容

更新日:2023/6/2

20年後の認知症はもう始まっている 60歳の現在地
20年後の認知症はもう始まっている 60歳の現在地』(渡辺正樹/イマジカインフォス)

「最近物忘れが増えた気がする」——そんな不安を感じている人は少なくないだろう。歳を取ったらある程度の物忘れは仕方のないことかもしれないが、認知症になるのはできれば避けたい。すでに自覚症状がある人も、何となく将来が不安だという人も、どうにかこの病を予防する方法はないのだろうか。

 実は、認知症は予防できるし、発症したとしてもその進行を遅らせることも可能だ。そう語るのは、「日本一自律神経を検査している」神経内科の名医・渡辺正樹先生。『20年後の認知症はもう始まっている 60歳の現在地』(渡辺正樹/イマジカインフォス)では、渡辺先生が幸せな老後20年を過ごすために、今すぐできる認知症の予防法を教えてくれる。マンガやイラストを交えながら、認知症という病とその対策について解説しているから、わかりやすい。長い老後を認知症にならずに健康で過ごすために早いうちから読んでおきたい1冊だ。

20年後の認知症はもう始まっている 60歳の現在地 p.15

20年後の認知症はもう始まっている 60歳の現在地 p.34

 この本には本当に目からウロコの情報が満載だ。たとえば、まさか認知症が生活習慣病とは知らなかったし、その原因のひとつにメタボがあるとは思いもよらなかった。渡辺先生によれば、認知症のなかでも約7割を占めるアルツハイマー病の発症には、長年の生活習慣が大きく関わっている。その影響が脳内に現れ始めるのは、なんと発症の20年前! アルツハイマー病の発症は概ね75歳以降だから、50代後半からすでに脳には小さな異変が起こり始めているのだそうだ。だが、認知症は一気に進行が進むわけではなく、10~20年もの時間をかけてゆっくり進行していく。だから、それぞれの年代のそれぞれの体と脳の状態に応じて、日常でできる対策を講じていけば、認知症を遠ざけることは可能だというのだ。

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 渡辺先生によれば、認知症は3つの段階を経て発症し、「60代はメタボ、70代はストレス、80代はフレイル(=心身の虚弱)」に注意すべきだという。脳内でアルツハイマー病がひそかに根を張り始める中年期(45~64歳前後)にメタボになると、アルツハイマー病の原因・アミロイドβが脳内にも溜まってしまい、続く老年期(65~74歳前後)にストレスを感じると、脳内に蓄積したアミロイドβの凶暴化が促進されてしまう。さらに老後期(75歳以降)、運動量、活動量が減り、脳内の神経ホルモンが分泌されなくなれば、認知症が発症してしまう。中年期はメタボ対策として食べすぎに注意が必要だが、老年期では栄養不足は認知症発症のリスクとなるように、年齢別に気を付けるポイントは変わってくるのだ。本書では、年齢別の摂るべき食事やすべき運動についても詳しく教えてくれる。現在の認知症進行度がわかるセルフチェックが掲載されているから、自分の状態を理解した上で、今、何をすべきかを把握しやすいだろう。

20年後の認知症はもう始まっている 60歳の現在地 p.41

20年後の認知症はもう始まっている 60歳の現在地 p.57

 どうやら認知症を防ぐための方法はたくさんあるようだ。発症の20年前、60歳が分かれ道。だが、60歳を超えていても、「手遅れだ」なんて思う必要はない。20世紀末のアメリカで行われた高齢で亡くなった修道女たちに対する研究では、彼女たちの脳にはアルツハイマー病の原因となるアミロイドβが大量に溜まっていたが、その3分の1には、認知症の症状は見られなかったのだという。つまり、脳にアミロイドβが蓄積してしまったとしても、脳がその攻撃を抑え込めれば、アルツハイマー病の発症は抑えられるし、発症したとしてもその進行を遅らせる方法はある。この本にはその方法が数多く掲載されている。本書を参考に、あなたも今すぐ生活習慣を見直して、認知症を予防しよう!

文=アサトーミナミ

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