雑談下手は損をしている!? 仕事のパフォーマンスを向上させ、よりよい人間関係を築ける雑談のコツ

ビジネス

公開日:2023/6/12

世界の一流は「雑談」で何を話しているのか
世界の一流は「雑談」で何を話しているのか』(ピョートル・フェリクス・グジバチ/クロスメディア・パブリッシング)

「今日は暑いですね」
「そうですね」

 そんな他愛もない雑談。日本人にとって雑談の定番テーマの「天気」だが、こんな会話では損をしてしまっているかも。天気の話がいけないというわけではない。共感して、ただ終わってしまう雑談が損なのだ。

 世界の一流ビジネスマンは、雑談にもはっきりとした目的を設定し、情報収集の手段として利用している。そうすれば、雑談から人間関係が良好になり、仕事のパフォーマンスも上がるという。そんな一段上の雑談術を教えてくれるのが、『世界の一流は「雑談」で何を話しているのか』(ピョートル・フェリクス・グジバチ/クロスメディア・パブリッシング)。文字通りの“雑”談を、ビジネスの武器に変えるコツを3つ紹介しよう。

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コツ①:雑談のための下調べをしよう

 世界の一流ビジネスマンは雑談を軽視しない。雑談は相手を知り、信頼関係を築くための有効な手段だと考えているからだ。

 例えば、冒頭の「今日は暑いですね」という会話から、相手の人となりは分かるだろうか? 答えはNo。忙しいビジネスマンは雑談で相手を判断する。ムダな雑談を展開して「時間のムダだ」と思われてしまえば大きな機会損失となってしまう。

 では、一流ビジネスマンは、どうしているのか。まず事前に入念な下調べをしているのだ。相手の業界ニュースはもちろん、本人について調べられることは事前にチェックする。思いつきで会話や質問はしないのだ。

 ちなみに著者はポーランド出身だが、20年以上日本で暮らしている。少し調べれば分かる情報にもかかわらず、

「日本語がお上手ですね」
「ポーランドってどのあたりの国ですか?」

 と、話しかけてくる人が多いそう。そのたび、時間がもったいないと感じてしまうという。雑談から相手を知るため、事前に下調べをする。これがひとつめのコツだ。

コツ②:相手の情報が手に入る質問をしよう

 大事なことなのでもう一度繰り返すが、雑談の目的は「相手を知り、自分を知ってもらうこと」。これを果たすには、互いに自己開示することが不可欠。そのために一流ビジネスマンは「その人ならではの答え」を導く質問を心がけている。

 例えば「暑いですね」と言われて「そうですね」と返したら、そこでおしまい。「こう暑いと、休日はどう過ごすのですか?」と、一言付け足すだけで、相手の情報が手に入る質問になる。回答として「家族でのんびり過ごしている」と分かれば、そこから「家族との時間を大切にしている人」と分かるだろう。信頼関係を築くには、家族との時間の妨げないやり方を考えなければいけない、とビジネスプランも立てられるはずだ。相手に寄り添う形で仕事ができれば、成果も上がりやすくなる。

 自分が答えるときにも「お酒が苦手」「サッカーが好き」など、積極的に自己開示してみよう。そうすれば、相手も「自分も開示しなければ……」と感じるのが人情というもの。お互いに歩み寄ることでより良好な人間関係となる。

コツ③:すぐにマネできる 安全で面白い質問

 相手を知るためには、自分が知りたいと感じたことを聞くのが基本。だが、注意も必要だ。例えば、出身大学といった“事実”を尋ねる質問は、意図せず相手のコンプレックスに触れてしまうこともある。会話のネタとして、つい聞いてしまいがちだが、信頼関係ができる前は避けたい。

 そこで、3つめのコツとなるのが、相手の考え・気持ちが分かる質問をすることだ。

「仕事で大切にしていることは?」
「自由に使える1万円があったら何に使う?」

 といった、その人らしさが垣間見える質問がおススメ。「あなたにとって人生とは?」なんて哲学的な問いも良いそう。日常会話であまり出ないテーマなので、その場で答えが出なくても「面白い質問してきたな」と印象に残る。次に会ったとき、向こうから続きを教えてくれるかもしれない。

 ちなみに、こういった質問は、一流ビジネスマンほど面白がって答えてくれる傾向があるという。雑談を大切にしているからこそ、張り切って答えてくれる。臆せず質問してみよう。

「雑談が上手い」=「面白い話ができる」と思っていないだろうか。ここまで読んでいただいたアナタなら、そう思わないだろう。雑談はそんなに難しいことではない。相手に興味を持ち、知ろうとすること。これこそが上手な雑談の最大のポイントなのだ。手に入れた情報は、メモをとるなどして覚えておくことも忘れずにしよう。

 本書には、ここで紹介した以外にもさまざまなコツが紹介されている。このコツを学び、一流の雑談ができるビジネスパーソンを目指そう!

文=冴島友貴

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