親がハゲていたら、自分もハゲるのは必然? 「ミルボン」美髪のトップ研究者が教える、白髪と薄毛、うねり毛などの髪老化を自力で防ぐ方法

健康・美容

公開日:2023/6/29

印象は髪がすべて 大人髪のトリセツ
印象は髪がすべて 大人髪のトリセツ』(伊藤 廉/KADOKAWA)

 髪の研究の第一線で活躍されている、株式会社ミルボンの基礎研究のトップ研究者である伊藤廉さん。以前、取材でお会いした際にふとおっしゃっていた「白髪は遺伝だと諦めなくていいんですよ」という言葉がずっと頭から離れなかった。

 その真意を知りたいと思い、やっと答えを見つけたのは、2023年3月末に上梓された伊藤廉さんの書籍『印象は髪がすべて 大人髪のトリセツ』(KADOKAWA)の中だった。

advertisement

親がハゲていたら、自分もハゲるのは必然か?

 特に男性の場合、身近な血縁者の中に薄毛の人がいると、「自分の未来の姿なのかも」と一度は想像し、心配になった人もいるはずだ。だが、「結論から言うと、現在の研究では、白髪や薄毛は遺伝要素よりも、後天的要因の影響の方が強いと考えられているのです」と伊藤さんは書いている。

 そこで、遺伝がどのくらい影響するのかの確率を本書で見ていくと、アジア人男性の場合で、薄毛が遺伝する確率は約50%ほどなのだとか。しかも、遺伝子的要因をもっていたとしても、必ずしも薄毛になるとは限らないというのだ。

 遺伝的な視点とは別に、統計学的な視点で考えてみると、日本人男性で、壮年性脱毛症を発症している人は約30%とされている。男性の人口全体のうち、「実際にハゲている確率は約3割」なのだ。

 ということは、薄毛には確かに遺伝的要因が関係しているけれど、「後天的な要素も強く影響している」ということなのである。それならば、自分次第で薄毛の未来は変えられるということだ。

 これは白髪も同様で、薄毛よりもさらに後天的影響の方が強いことがわかってきている。薄毛も白髪も「自分でなんとかできる」余地が大きいのなら、何も手を打たないのはもったいない!

今、私たちが白髪&薄毛予防のためにできること

 どんなに高価なシャンプーを使っていても、どんなに有効成分の入った頭皮用美容液を塗布していても、その前に大事なことがあると、気になることが本書には書かれていた。

 その大事なこととは、頭皮や髪の汚れがちゃんと落とせていなかったら、せっかくのヘアケアアイテムが台無しになるくらい、基本の“き”なのがシャンプーなのだとか。

 著者の伊藤さんは、若いとき、髪が薄かった時代があったそうで、薄毛だった理由がちゃんと洗えていなかったからなんだと、ミルボンに入社してから気づいたというエピソードがあった。ミルボンでは入社すると、全員が正しいシャンプーの方法を最初に習うという。薄毛や白髪などの大人の髪悩みにとって、正しく洗うということは、そのくらい大事な根幹部分なのだ。

 毎日シャンプーをしていても、それが正しいかどうかなんて、あまり考えたことがない人が多いはず。習ったことがないのだから当然かもしれないが、9割以上の人が正しく洗えていないのが現状だと書かれている。

 まずは正しくシャンプーを行い、汚れをしっかり落とし、有効成分が効きやすい土壌を作ることが先決とのこと。

 さらに、今、伊藤さんが注目しているケアが「頭皮常在菌へのアプローチ」と「幹細胞研究」の2つ。いずれも薄毛と白髪に関与していると考えられ、徐々に解明されてきている分野でもある。これらの研究に着目したヘアケアアイテムも登場していると書かれていたので、本書の成分を配合された製品を探してみたい。

 そのほか、ストレスや暴飲暴食などの生活習慣も大いに影響していると考えらえるそう。

 きちんと頭皮と髪を洗い、日常生活を見直し、最先端のヘアケアを使ってみる。

 この3つができたら、現時点での最良のヘアケアになるのではないだろうか。

取材・文=長田和歌子

あわせて読みたい