可愛いだけじゃない!? 人気漫画『ちいかわ』に登場するホラー回4選

マンガ

公開日:2023/7/19

ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ
ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』(ナガノ/講談社)

 そのゆるーく自由なキャラと物語で、あらゆる世代を癒しの世界に誘う作品『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』(ナガノ/講談社)。その人気は2022年4月から、フジテレビの情報番組「めざましテレビ」でTVアニメが放送されるほどだ。

 本作の魅力は何といっても、登場キャラクターと一つひとつのお話に人畜無害な可愛さと癒しが詰め込まれている点。仕事が忙しく心と体が疲れたとき、主人公のちいかわ、ハチワレ、うさぎのやり取りを見てほっこりしている社会人も多いのではないだろうか?

 ただ『ちいかわ』のお話にも、ときどき不気味かつゾッとする回・シーンが登場する。彼らが暮らす世界にも「恐怖」が存在しているのだ。本稿では、そんな『ちいかわ』の不気味&ゾッとする回を4つご紹介!

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①「ちいかわの日々」(1巻・第1話)

 可愛さが詰め込まれている作品といったが、本作でゾッとする回が登場するのはなんと1巻第1話の キメラのお話 。冒頭からさっそくゾッとさせられるのだ。物語は突然、ちいかわの前にキメラが姿を現すシーンから始まる。キメラといえば、 一般的にはギリシャ神話にある「頭はライオン、胴は山羊、尾は蛇」と狂暴なイメージだが 、ちいかわの前に現れたのは、ちいかわと同じような体で蝶のような羽と太く短いしっぽが生えた、可愛いキメラだった。しかし表情は悲しく「こんなになっちゃった」と涙を流すキメラ。そして「なっちゃったからにはもう……」と諦めに近いセリフとともに長く鋭い爪をちいかわに見せるシーンが描かれる。このお話によって、ちいかわの世界には半ば強制的にキメラにさせられた生き物も生活していることが判明した。「なっちゃった」という言葉が、とても恐ろしく感じる……。

②「杖」(1巻・第12話)

 うまい話にはウラがある。このお話はそれを如実に描いたホラー回だ。ちいかわとハチワレのもとに、欲しいものが何でも手に入る杖を持ってきたうさぎ。いかにも怪しい杖だが、ハチワレは杖から出したカメラで木や花を撮影する。すると木や花は、まるでもともとそこになかったかのように姿を消してしまうのだ。さらに杖を振ったハチワレとうさぎは赤と緑の巨大なモンスターに変化してしまう。ちいかわが杖を折ったおかげで2人は元の姿に戻るが、消えた木や花が元に戻る描写はない。もしハチワレが出したカメラでちいかわを撮っていたら……。

③「三ツ星」(2巻・第4話)

 生き物全般に共通する「食う、食われる」の関係。ちいかわの世界にもその関係が存在する。仕事からの帰り道、三ツ星レストランを発見したちいかわとハチワレ。店内には金具で壁に貼り付けられた3体の星型の妖精と、巨体の店主の姿が。この時点ですでに怪しい匂いがプンプンするが、「ご飯を食べたい」と伝えてしまうハチワレ。すると店主は、ちいかわとハチワレを食材に調理を始めてしまうのだ。トルティーヤに巻かれ、店主の「いただきマンモス」の声を聞いて初めて、自分たちが捕食対象であったことに気付く2人……。この後の結末はぜひ本作を読んで知っていただきたい。

④「ほんとに怖い話」(3巻・第13話)

 ちいかわファンの中でも「不気味な回」として有名なのが、3巻・第13話で描かれる話だ。インターネットで怖い話を見たちいかわとハチワレ。帰り道が怖くなった2人は、ちいかわの家で「こわいの忘れパーティ」を開催することに。うさぎも差し入れのパンと共に登場し、笑い合って終了かと思いきや……。突然、外の景色が真っ赤に染まってしまうのだ。そしていくつもの人間の手形が窓にビタビタッと張り付いていく……。そもそもなぜ人間の手形なのか、なぜ景色が真っ赤になったのか。この謎はまだ回収されていない。怖さと謎を生んだ稀有な回だ。

 可愛い&癒しの世界に、不気味さやホラーの要素が混ざった本作。ギャップがある作品に弱い方にはたまらないはずだ。またもしかすると、僕らが気付いていないホラー要素が他にもたくさんちりばめられているかもしれない……。ぜひ作品を読みながら探してみてほしい。

文=トヤカン

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