「既婚者のクズ男と知らず愛してしまった…」不倫の怖さがこれでもか! とばかりに疑似体験できる異色不倫マンガ

マンガ

更新日:2023/10/18

本気の恋はクズとの不倫でした ~本妻の裏アカで暴かれる男の悪行~
本気の恋はクズとの不倫でした ~本妻の裏アカで暴かれる男の悪行~』(司萌/DPNブックス)

「分かっちゃいるけどやめられねぇ」とは昭和の名歌謡曲「スーダラ節」の中の一節だが、人は確かに踏み出してはいけないと分かっていても、ときとしてブレーキがかからないことがある。酒にギャンブル、そして禁断の恋愛こと不倫はその最たるもの。ワイドショーやドラマ・映画でも賑わいをみせている不倫は、マンガ界においても鉄板人気のテーマである。

 泥沼ものからコメディ、W不倫にサスペンスなど、切り口によって如何様にも広げていけるのが不倫ものの強みだ。『本気の恋はクズとの不倫でした ~本妻の裏アカで暴かれる男の悪行~』(司萌/DPNブックス)は、不倫の恐ろしさと割に合わないということを、これでもかというくらいに教えてくれる、ある意味で道徳的とさえいえる異色作である。

本作品を試し読み

advertisement

 まじめな性格の会社員・早紀は、洗練された物腰で有能、そして部下に優しい上司の西本にほのかな恋心を抱いている。ある晩、残業後に一緒に帰ることになり、すでに結婚しているものと思っていた彼が独身と判明。急速に恋心を募らせ、西本からも好意を向けられて男女の関係になる。

 会社ではあくまでも上司と部下として振る舞い、ふたりきりのときだけ恋人モードになるのは軽い背徳感があり、それがまたスパイスとなってたまらなく楽しい。しかし実は西本は結婚して15年目になる妻がいる、れっきとした既婚者だったのだ……。

本気の恋はクズとの不倫でした

本気の恋はクズとの不倫でした

 この男、最初の頃は早紀の恋愛フィルターを通して描かれているためダンディな中年男に見えるのだが、徐々にその本性が出てくる。自分が既婚者であることが早紀にばれると、不倫男の常套句である「妻とは別れるつもり」&「向こうが離婚に応じてくれない」を口にして自分は悪くないアピールを展開。さらに早紀という不倫相手がいながら(?)、マッチングアプリで日々ナンパを繰り返すという、クズの国からやってきた男なのだった。

本気の恋はクズとの不倫でした

 そして、西本の妻の真由美が強烈なキャラクターだ。

 スマホを駆使して夫の行動を逐一チェックするのは当たり前。裕福な専業主婦MAYUMIというハンドルネームで、日々SNSにブランド品や、凝った手作り料理の写真を投稿してセルフィーに余念がない。幸せな愛され妻を演出している一方で、裏アカのSNSでは「サレ妻」として、夫の浮気に関する投稿を行っている。不倫の常習者である夫を1ミリも信じてなどいないが、絶対に別れる気はない。

本気の恋はクズとの不倫でした

本気の恋はクズとの不倫でした

 夫の不品行が原因で妻がやばめになったのか、それとも妻の常軌を逸した束縛に嫌気が差して夫は不倫に走ったのか。

 どちらとも解釈ができるあたりに夫婦関係の難しさや、男と女の深淵のようなものが伝わってくる。

 真由美のSNSを通して西本の本性に気づいた早紀は、彼への復讐を決意。妹の協力を得てハニートラップを仕掛けるが――。

本気の恋はクズとの不倫でした

 個人的には西本夫妻に関わるのはもうやめて、早紀には自分の人生を仕切り直してほしいと思うのだが、復讐計画の行方も気になるところだ。西本にいずれ下されるであろう「ざまあ」を楽しみに読んでいる方もきっと多いだろう。迫力のある絵柄がまたストーリーと調和していて、一度読んだら止められない中毒性がある。

文=皆川ちか

あわせて読みたい