あまり接点のない部署の先輩にあえてアドバイスをもらうと良い? 日常のクリエイティビティを高めて仕事で結果を出す方法

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更新日:2024/2/7

なぜ、クリエイティブな人はメンタルが強いのか?
なぜ、クリエイティブな人はメンタルが強いのか?』(板生研一/クロスメディア・パブリッシング(インプレス))

「クリエイティブ」と聞くと、もしかしたらクリエイティブ関係ではない大半のビジネスパーソンは「自分には関係ない」と思われるかもしれない。しかし、どうやら、どんな人にとっても「クリエイティブ」は身近であり、しかも、仕事の質を高められるそうなのだ。

なぜ、クリエイティブな人はメンタルが強いのか?』(板生研一/クロスメディア・パブリッシング(インプレス))は、クリエイティブな人の多くはメンタルが強く、その人たちの共通点は「日常生活の中で“小さなクリエイティビティ”を発揮している」ことに気づいた。本書は、この“小さなクリエイティビティ”を、誰でも発揮できるように紹介している。

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 本書はターゲットを

・ビジネスパーソン
・特に、仕事でもっとクリエイティビティを発揮したい人
・仕事のやりがいをもっと高めたい人
・メンタルを強くしたいと思っている人

 と設定している。あなたは、すこしでも当てはまるだろうか。

 さて、本書がいう「クリエイティビティ」とは、何もビッグアイデアを生み出すことだけでなく、日々の決まった仕事にひと工夫を加えたり、人には気づかれないくらい些細な新しいアイデアを考えて実行してみたりすることも含めている。本書では、こういった「その気になれば誰もが実践できるクリエイティビティ」を「リトルC」と呼んでいる。そして、メンタルマネジメントに、このリトルCの実践を加えたものを、本書は「クリエイティブ・メンタルマネジメント」とし、これを求めることで仕事や生活の質を高めることができる、というのだ。

「リトルC」は、アメリカの心理学者ジェームス・カフマン博士が提唱したクリエイティビティを4タイプに分類した「4C理論」で、最上位である「天才が持つ優れた創造性」であるビッグC、次いで「専門家が持つ創造性である」プロCの次に位置される「日常的な創造性」である。本書が挙げるその創造性の具体例として、次のようなものがある。

・レジ打ち係の人が、買いものかごに商品をいかに無駄なくきれいに入れるかを工夫することでお客さまに喜んでもらう

・バスの運転手が、降りる乗客に対して、「後ろから自転車がきているので、気を付けてください」とマイクでひと言アナウンスする

・ビルの清掃員の人が、来客したお客さまに、「いらっしゃいませ」とひと言声をかける

 このように、リトルCは誰の許可を得る必要もなく、自分で判断でき、自己完結する。さらに、相手の反応というかたちで結果が明確に「見える化」され、ときには感謝の言葉やフィードバックをもらえるかもしれない、と本書はそのメリットを解説している。しかしながら、些細なリトルCを行なうにしても、新しいことをするにあたっては小さな勇気と小さな責任が伴う。つまり、小さなリスクが発生する。これらをとってまで行動したからこそ、結果がポジティブであれば、小さな成功体験として記憶される。そして、脳の報酬系システムが活性化し、ドーパミンが分泌され、「またあの成功体験を味わいたい」という好循環が発生し、仕事の質が高まっていく、という。

 本書は、仕事でリトルCを実践する方法も紹介している。それは、「ジョブ・クラフティング」という方法であり、「働く人が自ら仕事に新たな意味を見出したり、仕事内容の範囲を変えたりすること」である。

 ジョブ・クラフティングには

(1)仕事のやり方を工夫する
(2)周りの人との関わり方を工夫する
(3)仕事に対する考え方を工夫する

 の3つのアプローチがある。ここでは、本書の内容から簡単に紹介してみたい。

(1)仕事のやり方を工夫する…本来決められている仕事の手順や範囲を自分で変える。仕事の手順を入れ替えてみてどちらが早く完了するかストップウォッチで計測、比較してみる、という例が示されている。スピードを自分で見える化するだけでゲーム感覚になり、モチベーションが上がる。

(2)周りの人との関わり方を工夫する…同僚や顧客といった他者との関わりを増やしたり、質を変えたりする工夫をする。あまり話したことがない隣の部署の先輩にあえてアドバイスをもらいに行く、という例が示されている。

(3)仕事に対する考え方を工夫する…自分の仕事の目的や意味を捉え直す。普段の仕事が究極的には誰のどんな役に立っているのかを考え、そのシーンを強く想像したり、実際にその現場を自分の目で見てみたりすることが、例として示されている。

 本書は、認知神経科学や予防医学、様々な心理学などを根拠に、説得力のある行動科学・行動論が紹介されている。新年は始まったばかり。“小さなクリエイティビティ”を発揮することで、仕事の質を昨年より高めていけそうだ。

文=ルートつつみ(@root223

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