イライラが良質なスカッとを作り出す！脳汁あふれるざまあマンガ『ワタシ以外みんなバカ』
マンガ PR公開日：2023/12/25
同僚にいてほしくない人の特徴ランキングのトップ3は、「性格がキツい」「パワハラ」「社内不倫」ではないだろうか。男女ともにそんな人とはお近づきになりたくない。運悪く同じ部署にでもなった日には、自分で尻尾を切って裸足で逃げ出すだろう。
『ワタシ以外みんなバカ』（かたおかみさお：著、egumi：原作/DPNブックス）は、そんな同僚にいて欲しくない女性・泉が主人公の物語だ。泉は同僚を「下の下」「下の中」などと勝手に評価し、自己判断ステータスを基準にタイトル通り人を見下す女だった。
仕事ができても性格がキツく、同じ部署の人から嫌われている。泉の嫌なところは自分はイケていると「勘違い」していることだけでない。パワハラにマウント、社内不倫――。読めば読むほど呆れてしまう泉の言動から「自分はまだまともな人間だな」と不思議な安心感すら得られる。ここまで反面教師に最適なキャラクターも珍しい。
そんな、泉へのイライラが最高潮に達したときに訪れる「ざまあ」展開は、脳汁があふれるほど強烈な快感を脳に与えてくれる。勘違い女に現実が突きつけられるシーンで、心からスカッとできることだろう。職場での人間関係に多大なストレスを感じている人へおすすめしたい作品だ。
泉はアシスタントとして採用された派遣社員の綾瀬を中の下にカテゴライズして、パワハラを繰り返す。呼吸より多いマウントや、嫌な上司としての泉の言動すべてにイライラさせられることだろう。そして、「同じ職場に泉がいなくて良かった」と、心から今の幸せを噛み締めたくなる。
しかし、性格が悪いのは泉だけにとどまらない。本作には次々と嫌なキャラが登場する。その最たる例が、泉が想いを寄せる男・袴田だ。既婚者にもかかわらず他の女と遊びまくっている袴田は、金欠のときに風俗に行くお金を節約するために泉とも寝ていた。
身体を求められるのは袴田の妻より自分が魅力的だからだと勘違いしていた泉が捨てられる展開にスカッとさせられる。そんな、読者待望のざまあシーンは、まだまだ続き、怒涛の悪口と事実が泉へと突きつけられていく。
トドメとばかりに「象かよ！ いや…象の方が可愛いわ！」とこき下ろされたのは、きっと泉にとって衝撃的だっただろう。スタイルを自慢するために着ている胸元が開いた服が袴田から否定された事実に対する皮肉にも見えて、泉への哀れみすら感じるほどで憎めなくなってくる。
袴田によるざまあ展開は、スカッとすると同時にもやもやも残ってしまう。それは、ひとえに袴田自身が泉並みに性格が捻れているからだ。「いやお前が言うな」の法則が発動してしまうのである。泉を無料風俗扱いしている袴田だって、本来であれば制裁されるべき不倫男なのだ。
泉はもちろんのこと、袴田が制裁されることも期待してしまう。妻であるサクラを最高級な主食と称し、社内の女を肉や魚、野菜にたとえて不倫する男が制裁されるシーンを見たいのだ。そんな人を見下す人間たちの末路を、最高のスカッとを味わいつつ見届けてほしい。
