子どもに大人気の小島よしおが教える「新しい友達の作り方」。自身も幼少期に苦労したからこそわかる心の持ち方

文芸・カルチャー

公開日:2024/2/14

小島よしおのボクといっしょに考えよう
小島よしおのボクといっしょに考えよう』(小島 よしお/朝日新聞出版)

 3学期の終わりが見えてきた。春に進級する子どもも、新しい場所で新生活をスタートする子どもも、少なからず抱えているであろう悩みは「新しい友達ができるかどうか」。保護者の心配の種でもあるだろう。大人だって、新天地で何かを始めるとき、新しい人間関係づくりに多少の不安を抱かないはずがない。

 子どもと保護者の好感度爆上がり中のお笑いタレントといえば、小島よしお氏が真っ先に思い浮かぶ。YouTubeチャンネル「小島よしおのおっぱっぴー小学校」で子どもの学習支援動画を公開したり、「AERA dot.」で小学生のお悩み相談に答えたりしている。『小島よしおのボクといっしょに考えよう』(小島 よしお/朝日新聞出版)は、2022年9月末までに「AERA dot.」へ寄せられた22の相談を収録したものだ。

 小島氏といえば、「ユーキャン新語・流行語大賞2007」トップ10に入賞もした「そんなの関係ねぇ!」をはじめ、「ダイジョブ ダイジョブ」「前へ前へ前へ」といった明るさ全開のポジティブなギャグ群。これらは、メンタル強めだと思われがちで実は弱い小島氏自身が強気で前向きに進むため、自分に投げかけている言葉だと本書で明かしているのだが、本書で子どもに送られる回答のいずれもがポジティブで子どもの心に寄り添ったものとなっている。

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 さて、例えば本書の相談6では、友達のつくり方がわからないと悩む子どもに向けて、小島氏なりの友達のつくり方を明かしている。

 自身も友達づくりに苦労した小島氏いわく、友達はひとり目をつくるのがすごく難しい。逆にポジティブに考えれば、ひとり友達ができれば、その友達伝いに、友達の輪が広がっていくよ、という。また、相談者と同じように友達ができなくて悩んでいる子どもは日本中の小学校にたくさんおり、そんな同じ状況の子どもがみんな仲間だと思えば心強いのではないかな、と小島氏。

 とはいえ、子どもみんながそんな“ひろーい視野”で考えることは難しい。そこで小島氏が提案するのは、まず、ひとりでいるのがつらい休み時間に読書をするなど、ひとりで熱中できるものを探してみること。そうしているうちに、つらい気持ちを忘れてしまうかもしれないし、クラスメイトが「何してるんだろう?」と気になって話しかけてきてくれるかもしれない、という。

 また、話しかけられる工夫だけでなく、自分から話しかける工夫も提案している。それは、運動会や合唱コンクールといった行事や、移動教室で、あるいは席替えをしたあとなど、日常とは違う状況でわからないことを聞いてみたり、挨拶したりすること。

 そして、友達ができない理由は、もしかしたら本人が「友達になりたいと思える人がクラスにいない」ことかもしれないね、と語る。小島氏いわく、小学校のクラスはたまたま集められたメンバーなので、その中で友達ができなくてもあまり気にすることでもないし、先の話しかけられる・話しかける工夫は、「本当に友達になりたい」と思う人が現れたときのための練習や準備期間にするのはどうだろう、と勧めている。

 この他にも、「仲間外れにされていて悲しい。どうすればいい?」「いじめられている子を助けたいのに助けられない」「勉強が好きになる方法を教えて」「動画とゲームの時間を守るにはどうすれば?」といった学校生活や勉強関係のお悩みから、「天国と地獄は本当にあるの?」「宇宙人が怖くて眠れない」といった、大人でも回答に困りそうなお悩みまで、バラエティ豊かに揃っている。

 小島氏の豊かな発想力、優しい語り口に引き込まれる本書で、新年度・新学期の準備をしてみてはいかがだろうか。大人も子どもも読める全文よみがなつき。さかなクンとお互いの子ども時代を語り合う特別対談も巻末に収録されている。

文=ルートつつみ@root223

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