「パパはどこいったの?」と数百回言われた介護のリアル。失明した父と認知症の母と向き合った姉妹の奮闘マンガ

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更新日:2024/3/7

お母さんは認知症、お父さんは老人ホーム 介護ど真ん中!親のトリセツ
お母さんは認知症、お父さんは老人ホーム 介護ど真ん中!親のトリセツ』(カータン/KADOKAWA)

 30代になり、徐々に感じ始めるのが親の“老い”だ。兄弟とも顔を合わせれば「そろそろ介護が必要になるはず。心づもりはしておいた方がいいのでは?」と話す機会も増えてきた。同じように、親の介護について意識するようになった人は少なくないはず。

 そんな人に読んでいただきたいのが『お母さんは認知症、お父さんは老人ホーム 介護ど真ん中!親のトリセツ』(KADOKAWA)だ。本書は認知症の母と79歳で緑内障によって視力を失った父の介護をすることになった著者・カータンさんと姉・かおさんの奮闘を描いた作品。介護のリアルを描いてはいるものの、姉妹のやり取りや両親との向き合い方は、介護を意識し始めた人や、いままさに介護に取り組んでいる人の一助になるだろう。

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 作品全体を通して伝わるのは、親の介護をする際、1人で何もかも背負い込まないことが大切であるということ。「一人で何とかしないと周りに迷惑をかけてしまうかもしれない……」という考えは危険だという。姉妹はそれを自然とわかっていたのだろう。役割を分担し、互いに互いを頼りながら介護に取り組んでいる。

 またプロの手を借りることも忘れていない。両親に介護が必要だと感じた瞬間、適切な介護サービスを受けられるようにするために、介護サービス計画(ケアプラン)を作成する専門職・ケアマネージャーに相談している。餅は餅屋というように、わからないことはプロに相談することが重要だと本書は教えてくれる。

お母さんは認知症、お父さんは老人ホーム 介護ど真ん中!親のトリセツ

お母さんは認知症、お父さんは老人ホーム 介護ど真ん中!親のトリセツ

 両親との向き合い方に関しては、マイナスな部分だけに目を向けず、何事もプラスに考えようとしているのが姉妹の魅力だ。現に2人は、せん妄によるひどい癇癪を目の当たりにしても、人への気遣いを忘れずに老人ホームで過ごす父親を応援し、「パパはどこいったの?」と同じことを数百回と聞かれても、ふとしたときに家族への愛情を見せる母親に尊敬の意を表する。作中にある「大変なことも多いけど、親の愛情や家族の大切さを改めて気付かせてくれたのが介護」というカータンさんの言葉は、介護に不安を覚える人に勇気を与えてくれる。

お母さんは認知症、お父さんは老人ホーム 介護ど真ん中!親のトリセツ

お母さんは認知症、お父さんは老人ホーム 介護ど真ん中!親のトリセツ

 他にも、本書には特別養護老人ホームと有料老人ホームの違いや、入所する際に必要な書類に関することなども実体験をもとに細かく記載されている。介護の入門書として参考にするのもいいだろう。いつか来るかもしれない介護について、少しでも知識を蓄えておきたい。どのような向き合い方をすれば、介護と自分の生活を両立できるのか知りたい。そんな人にこそおすすめの1冊だ。

文=トヤカン

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