河川敷に小屋を建てたら罰金? アウトドアを楽しみたい人が知っておきたい法律&マナー

暮らし

公開日:2024/4/7

いきものづきあいルールブック: 街から山、川、海まで 知っておきたい身近な自然の法律
いきものづきあいルールブック: 街から山、川、海まで 知っておきたい身近な自然の法律』(一日一種:著、水谷知生・長谷成人:監修/誠文堂新光社)

 コロナ禍の影響もあり、空前のアウトドアブームが続いている。密を避けやすい登山、キャンプ、釣りなどをこの数年で始めた人は少なくなさそうだ。

 さて、三寒四温が続いて、にわかに春めいてきた。アウトドアの季節到来である。そこで、『いきものづきあいルールブック: 街から山、川、海まで 知っておきたい身近な自然の法律』(一日一種:著、水谷知生・長谷成人:監修/誠文堂新光社)から、「自然環境」や「野生動物」と関わる上で気をつけたい「法律」や「マナー」について知っておきたい。本書によると、山、川、海、さらには近所の公園ですら、それぞれの場所でやってもよいことといけないことがいくつかある。本書はストーリーマンガと解説ページで構成されているため、わかりやすく読みやすい。親子で読むにも適していそうだ。

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 本記事では、河川・湖沼のルールと、海のルールについて触れたい。まずは河川だが、本書は河川敷の「自由使用の原則」を取り上げ、誰でも自由にジョギング、釣り、バーベキューなどができる、と述べている。しかしながら、当然、何でもやっていいというわけではなく、河川法で制限されていることもある。例えば、河川法第26条では河川に工作物(小屋など)を新築すること、同25条では砂やヨシなどを採取することが制限されている。許可を受けずにこれらを行なうと、罰則や罰金が発生する。例えば、河川区域内に不法な建築を行なった場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金となるそうだ。また、罰則・罰金はなくとも、周囲の迷惑になるようなスポーツをしたり、直火の焚き火やバーベキューをしたりすることはマナー違反となるため注意を促している。ちなみに、釣りができると前述したが、実際には遊漁券を買わなければできない場所が多く、持っていない場合は割高になることが多いが、その場で購入することとなるそうだ。

 河川の釣りでは、ブラックバス、ブルーギルなど特定外来生物を釣ることがあるかもしれない。本書いわく、現状の外来生物法では基本的には「キャッチ&リリース(釣ったあと逃がす)」は禁止されていない。しかし、現実に自治体が条例などで禁止している例が増えてきているという。例えば、「滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例」第18条では、ブルーギル、オオクチバスなどの外来魚を採捕したときは、これを琵琶湖その他の水域に放流してはならない、と定められている。

 さて、同様に海の釣りにもルールがある。本書がこの章で紹介する最初のルールは、立ち入り禁止箇所について。本書によると、海沿いは河川と比べると釣り自体の規制はあまりないが、立ち入り禁止箇所が多い。その理由は、転落事故が起きやすいなど「危険」な場所が多いからである。特に防波堤(またはその一部)は、堤体の両側が海になっており、多くの場合、柵もない。海の天候は急変しやすく、転落した場合は自力で防波堤に上がることが困難なため、禁止措置を施しているのだ。特に2002年のSOLAS条約改正後は、一般人の立ち入りが制限される場所が増えた。これら立ち入り禁止箇所に許可なく立ち入れば、軽犯罪法第1条32号が適用され、勾留または科料が科される。本書は、釣りをする場所が立ち入り禁止箇所であるかどうかを確認するとともに、海に転落しても生存率を大幅に上げる「ライフジャケット」の着用を推奨している。

 いずれも「知らなかった」では済まされないルールを紹介している本書を読み、アウトドアを満足いくまで楽しみたいものである。

文=ルートつつみ@root223

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