本のレビューで、世界を変える!!! 真の「文学少女」、此処にあり!

公開日:2013/4/23

草子ブックガイド(1)

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:玉川重機 価格:540円

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学生時代「国語の授業なんて嫌いだ」と思ったことはないだろうか。「あんなの解釈の押しつけだ。本には人それぞれの捉え方があって良いはずだ。」――あの時感じたそんなモヤモヤを吹っ飛ばし、本当の本の楽しみ方を教えてくれる漫画が『草子ブックレビュー』だ。(まあ、国語の教員免許を持ってる私が言うのもおかしい話なんですけどね)

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この漫画の主人公、内海草子(うつみそうこ)は実に自由に本を読み解いている。良き理解者、古書・青永遠屋(おとわや)の店主に支えられながら、草子が等身大で書いた「ブックレビュー」は、周りの人々の生活を変え、内気だった彼女自身をも成長させる。どこにも居場所がなかった彼女がひたむきに本と向き合い、現実を見据えることで、徐々に人々と結びついていく。

時に人間は言い知れない寂しさややり切れなさに襲われる。それは、他人と打ち解けるのが苦手だった草子も、画家になる夢を捨てきれないが、結果を出せず飲んだくれてばかりの草子の父も、夢の司書教諭になるも思うような図書館運営が出来ない先生も同じ。世の中、上手くいくことばかりじゃない。現実はいつだって、残酷だ。だが、本はそんな現実の苦さをも和らげてしまう。本は人に思いがけない視点を与え、新たな活路を与える。現実を打破する力をも秘めている。

本が生み出す力は作家だけが生み出すものではない。読者が生み出すものでもある。この漫画を読むと、無性に本を読みたくなってしまう。

読書家じゃない人にこそ、読んでほしい1冊。


草子のブックガイドに魅せられる、古書店「青永遠屋」店主

「青永遠屋」に自分の居場所を見つけながらも、まだ、学校には居場所を見いだせない草子

学校でのブックトークに挑戦にする草子

草子の本の紹介が周りの人を変えていく。繊細な絵によって彼女の世界の変化を描きだしている
(C)玉川重機/講談社